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2019 年度 実施状況報告書

分解後プロテオミクス:法医学からの新規プロテオミクス

研究課題

研究課題/領域番号 19K22756
研究機関名古屋大学

研究代表者

石井 晃  名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30252175)

研究分担者 名取 雄人  名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (80610104)
研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワード法医学 / 法医鑑定 / 法医生化学 / ペプチド分析 / 質量分析
研究実績の概要

本研究では、質量分析法を用いたペプチド解析を行うことにより、最初はトリプシン消化フラグメントを用いて、従来の法医生化学検査では測定不能であった試料における目的タンパクを定量し、次いで、実検体で切断されているペプチドフラグメントを同定し、法医診断に資するタンパク(ペプチド)マーカーの探索を行うことを目的とする。対象となるタンパクとしては、熱中症で上昇するミオグロビン、心不全で上昇するNT-proBNPが挙げられる。
最初の目標は尿中ミオグロビンであり、現在、標準品ヒトミオグロビンのトリプシン消化フラグメントの解析を行うことにより、実験条件の検討を行っている。トリプシン消化により、ヒトミオグロビンは19のフラグメントに分解し、それぞれについて、MS/MS上でのトランジションの最適化を行った。次いで、これらフラグメントをセミミクロカラム及びミクロカラムで分離し、分離性能及び感度を比較した。セミミクロカラムによる分離と比較すると、ミクロカラムによる分離を行うことにより、分離時間は30分から10分と短縮でき、面積値で1.5倍から9倍程度の感度の上昇が認められ、ミクロカラムがこれらフラグメントの検出に有用であることが示された。現在、標準尿に標準ミオグロビンを添加したものを室温で放置し、その後トリプシン消化を行い、ペプチドの絶対強度を比較した。すると、ペプチド間で強度に差が見られ、定量に適したペプチドが選択できる可能性が示唆された。また、同時にSDS-PAGEによるミオグロビンの分離を行い、分解速度検討のための基礎データを採取している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在、実際の尿サンプルを用いる前の予備実験を施行している。特に消化後において、どのペプチドが最も安定性が高いかを検討しており、現在データが得られつつあり、今後、いくつかのペプチドに限定して検討を行う予定である。

今後の研究の推進方策

今後は、安定性の高いペプチドについて、安定同位体を含んだペプチドを作成し、正確な定量方法を確立する予定である。加えて、少量の尿サンプルからミオグロビンを精製するための方法として、アセトン等で沈殿させる、ないし、抗体ビーズを用いた精製を行うか、簡便性も含めて検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

現在、トリプシン消化ペプチドのMS/MS上の挙動を中心として基礎データを蓄積している。トリプシン消化ペプチドの正確な定量を行うためには、重水素標識ペプチドを用いた同位体希釈法が最も有用であるものの、この合成には時間がかかることが予想された。今回、対象となるペプチドはほぼ確定しつつあったものの、合成は年度をまたぐことが想定されたため、次年度に重水素標識ペプチドを合成することとし、次年度分の助成金と合わせて使用する予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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