研究課題/領域番号 |
19K22757
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
村田 真理子 三重大学, 医学系研究科, 教授 (10171141)
|
研究分担者 |
翠川 薫 鈴鹿大学, こども教育学部, 教授 (20393366)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
キーワード | タウリン / アポトーシス / がん抑制遺伝子 |
研究実績の概要 |
生理活性物質タウリンは抗炎症作用、抗がん作用に期待が持たれている。我々は、ヒト上咽頭癌由来培養細胞を用いて、タウリンの処理によるアポトーシスを介した抗がん作用を検討した。タウリンの濃度依存的にアポトーシスマーカーであるcleaved caspase-3および-9が有意に上昇した。この機構の一つとして、タウリンによるPTENおよびp53の誘導を見出し、その成果を国際学術雑誌(He et al. Adv Exp Med Biol 2019)に発表した。さらに、ヌードマウスの皮下に上咽頭癌細胞を移植し、タウリン飲水により、腫瘍の増大が抑制された(論文準備中)。 また、我々は潰瘍性大腸炎-大腸がんモデルマウスを作製し、タウリンが炎症および大腸がんを抑えるかについて検討した。マウスに大腸発がん物質であるazoxymethane (AOM)を腹腔内注射し、その1週間後、大腸起炎性物質dextran sodium sulfate(DSS)を7日間飲水投与を1週間の休止を挟み、2回行い、モデルを作成した。タウリンあるいは水を飲水投与し、8週間目に屠殺し、大腸の腺腫およびがんの形成数を確認し、タウリン投与により有意に腫瘍数および大腸癌数が低下することを見出した。免疫組織化学染色法にて、がん抑制遺伝子PTENが有意に発現上昇し、タウリンによる発がん抑制機構に関与することが示唆された(論文投稿中)。予備実験として、タウリントランスポーターノックアウトマウスを用いて、AOM-DSSによるモデルと、タウリン飲水による効果を検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タウリンによる上咽頭癌細胞に対する抗がん作用については既に成果を学術雑誌に発表している。また、潰瘍性大腸炎-大腸癌モデルマウスへのタウリン投与によるがん抑制効果を見出し、論文投稿中である。
|
今後の研究の推進方策 |
タウリントランスポーターノックアウトマウスを用いて、AOM-DSSによるモデルと、タウリン飲水による効果の検討を行い、野生型マウスでの結果と比較し、タウリンの抗がん作用の機序を明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、学会の中止および消耗品の入手遅延により、旅費及び物品費に次年度使用額が発生した。すべて物品費として使用する予定である。
|