研究課題
食餌性因子タウリン(2-アミノエタンスルホン酸)はヒトの生体内に最も豊富に存在する遊離アミノ酸様物質である。タウリンには浸透圧の調整、細胞膜安定化、カルシウムイオン濃度維持、抗炎症作用に働き、細胞を正常な状態に保つ恒常性維持機能や細胞保護作用がある。我々はタウリンの抗がん作用を潰瘍性大腸炎・大腸がんマウスモデルを用いて検討した。発がん物質Azoxymethane (AOM) と炎症起因性物質dextran sodium sulfate(DSS)を投与し、大腸がんマウスモデルを作成し、タウリンを経口投与した。タウリン投与群で腫瘍および大腸癌の数が有意に低く、タウリンの炎症関連がんの抑制作用がin vivoで明らかになった。その機序の1つとして、タウリンは、がん抑制遺伝子PTENの発現を上昇されること、cleaved caspase-3を増加させることを示し、アポトーシスによる抗がん機序があることが示唆された (Oxid Med Cell Longev. 2020;2020:7935917)。また、我々はこれまでにヒト上咽頭癌細胞株を用いて、in vitroでのタウリンの細胞増殖抑制およびアポトーシス誘導性を報告し、その機序としてタウリンがp53およびPTEN発現を増加させることを見出している(Adv Exp Med Biol. 2019;1155:533-541)。ヒト上咽頭癌細胞株をヌードマウス皮下に異種移植し、タウリン摂取群と対照群において、腫瘍増大について観察した結果、タウリン摂取群において腫瘍重量が有意に低かった。すなわち、in vivoにおいてもタウリンは抗がん作用を示し、また、その機序にアポトーシスのみならず、オートファジーが関与することを明らかにした(論文準備中)。
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