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2019 年度 実施状況報告書

次世代シーケンサーを使用した精巣内精子採取術による精子回収予測システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 19K22762
研究機関徳島大学

研究代表者

佐藤 陽一  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (10363160)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2021-03-31
キーワード男性不妊症 / 非閉塞性無精子症 / 次世代シーケンス / MD-TESE
研究実績の概要

本年度は網羅的なゲノム解析から得られた遺伝情報を用いて機械学習を行い、顕微鏡下精巣内精子採取術(Micro-TESE)における精子回収を予測することができるかどうかを検討した。非閉塞性無精子症と診断され、Micro-TESEが施行された28名を対象にした。28名についてゲノム解析により、約600,000のsingle nucleotide variant (SNV)を得た。28名のうち27名を学習群として約600,000のSNVについて関連解析を行い、P値0.005、0.01、0.05以下のSNVを抽出した。モデルとしてRandom Forest (RF)、Support Vector Machine (SVM)、Naïve Bayes (NB)、Neural Network (NN)を用いて機械学習を行った。学習させていない残りの1名をテスト群とし、28名それぞれがテスト群となるように、合計28回シミュレーションした。また、正解率が高くなるようなSNVの選択を検討した。関連解析の結果から、P値0.005、0.01、0.05以下のSNVを抽出して機械学習を行った結果、P値0.01以下のSNVが最も正解率が高かった。4種のモデルで比較したところ、NBが最も高い正解率78.5%を示した。さらに、P値0.01以下のSNVのうち、28回のシミュレーションで共通しているSNVを抽出して機械学習を行った。その結果、特にSVM、NNにおいて高い正解率を示した。今回、NOA患者28例を対象とした検討であるが高い正解率を示したことから、今後、例数を増やすことや学習対象とするSNVを検討することで、より信頼性の高い精子回収予測式の構築が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在28名を対象に網羅的なゲノム解析を行うことができた。Micro-TESEにより精子が回収された症例と回収できなかった症例で関連解析を行い、いくつかの条件で候補SNVを抽出した。また、機械学習についても4つのモデルについて検討できた。シミュレーションの回数なども検討でき、現在のところNBが最も高い正解率78.5%を示した。今後、例数を増やしたり、validation解析も必要となってくるが、今年度は概ね順調に研究が進んでいる。

今後の研究の推進方策

MD-TESEを受けた無精子症患者を対象に、網羅的なゲノム解析によりMD-TESEによる精子回収を予測するシステムを構築することを目的とし、次年度は、以下の検討を行う。試料採取の協力を得ている国際医療福祉大学病院リプロダクションセンターにおいて、MD-TESEが施行された無精子症患者を対象に、次世代シーケンサーを用いて、塩基配列の解析を行う。種々のアノテーションデータを用いて候補SNVを抽出する。また、KEGGなどの遺伝子ネットワークを使用して、パスウェイ解析を行う。このような情報をMD-TESEにより精子が回収できた症例と出来なかった症例で関連解析を行う。抽出したSNV情報を用いて、回帰分析や判別分析などの統計学的手法およびサポートベクターマシーンなどの機械学習の手法を用いて検討を行う。構築した予測式の妥当性について、別個の患者を対象に検証する。陽性・陰性反応の的中度の結果から、それぞれの方法で得たモデル式の妥当性を評価することで、最適なMD-TESEによる精子回収予測モデル式を構築する。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していたより、次世代シーケンス解析が安価であったため、次年度使用額が生じた。翌年度の研究費と合わせて、次世代シーケンス解析と消耗品の購入に使用予定である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Genome-wide association study of semen volume, sperm concentration, testis size, and plasma inhibin B levels2020

    • 著者名/発表者名
      Youichi Sato, Atsushi Tajima, Misaki Kiguchi, Suzu Kogusuri, Aki Fujii, Takehiro Sato, Shiari Nozawa, Miki Yoshiik, Makiko Naka-Mieno, Kosuke Kojo, Masahiro Uchida, Haruki Tsuchiya, Kazumitu Yamasaki, Issei Imoto, Teruaki Iwamoto
    • 雑誌名

      J Hum Genet

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 男性不妊症関連遺伝子の精子形成メカニズム2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤 陽一
    • 雑誌名

      細胞

      巻: 51 ページ: 38-40

  • [雑誌論文] 男性不妊症関連遺伝子の精子形成メカニズム2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤 陽一
    • 雑誌名

      アグリバイオ

      巻: 3 ページ: 81-84

  • [学会発表] 次世代シーケンス解析は非閉塞性無精子症の原因解明に有効か?2019

    • 著者名/発表者名
      福永 千香,古城 公佑,内田 将央,土屋 春樹,山崎 一恭,岩本 晃明,佐藤 陽一
    • 学会等名
      日本アンドロロジー学会第38回学術大会
  • [学会発表] 家系を対象とした次世代シーケンス解析による新規男性不妊症原因遺伝子の同定と遺伝子改変マウス作製による精子形成に関する検討2019

    • 著者名/発表者名
      野崎 瑞貴,上殿 千晴,古城 公佑,内田 将央,土屋 春樹,山崎 一恭,岩本 晃明,佐藤 陽一
    • 学会等名
      日本アンドロロジー学会第38回学術大会
  • [学会発表] GWASによる精索静脈瘤関連遺伝子座の探索2019

    • 著者名/発表者名
      濱口 惠寛,山崎 一恭,岩本 晃明,佐藤 陽一
    • 学会等名
      第64回日本生殖医学会学術講演会
  • [学会発表] ゲノムワイド関連解析によるInhibin B値関連遺伝子座の同定と遺伝子改変マウス作製によるInhibin B産生に関する検討2019

    • 著者名/発表者名
      藤井 亜紀,山崎 一恭,岩本 晃明,佐藤 陽一
    • 学会等名
      第64回日本生殖医学会学術講演会
  • [学会発表] 個別化医療に向けた非閉塞性無精子症患者の次世代シーケンス解析2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤 陽一,古城 公佑,内田 将央,土屋 春樹,山崎 一恭,岩本 晃明
    • 学会等名
      第64回日本生殖医学会学術講演会
  • [学会発表] Elucidation of the causative gene of non-obstructive azoospermia by whole-exome sequencing.2019

    • 著者名/発表者名
      Youichi Sato, Fukunaga Chika, Kojo Kosuke, Uchida Masahiro, Tsuchiya Haruki, Yamasaki Kazumitu, Iwamoto Teruaki
    • 学会等名
      American Society of Human Genetics, Annual Meeting 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] ゲノムワイド関連解析によるヒト精子形成機構に関わる遺伝子の探索と機能解析2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤 陽一
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
    • 招待講演
  • [学会発表] 男性不妊症新規原因遺伝子の同定と遺伝子改変マウス作製による精子形成機能に関する検討2019

    • 著者名/発表者名
      野崎 瑞貴,上殿 千晴,古城 公佑,内田 将央,土屋 春樹,岩本 晃明,佐藤 陽一
    • 学会等名
      先端モデル動物支援プラットフォーム 2018年度成果発表会
  • [学会発表] ゲノムワイド関連解析によるInhibin B値関連遺伝子の同定と遺伝子改変マウスを用いたInhibin B発現に関する検討2019

    • 著者名/発表者名
      藤井 亜紀,小薬 鈴,中川 雄介,田嶋 敦,井本 逸勢,山崎 一恭,岩本 晃明,佐藤 陽一
    • 学会等名
      先端モデル動物支援プラットフォーム 2019年度若手支援技術講習会
  • [備考] 徳島大学大学院医歯薬学研究部医薬品情報学分野

    • URL

      https://www.tokushima-u.ac.jp/ph/faculty/labo/inf/

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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