研究課題
非閉塞性無精子症(NOA)の治療として顕微鏡下精巣内精子採取術(micro-TESE)が行われるが、必ずしも精子が回収できるとは限らないことから事前に精子回収の有無を予測できるシステムの構築が望まれている。本研究では網羅的なゲノム解析により精子回収の有無と関連を示す遺伝子領域を探索し、ゲノム情報から精子回収予測モデルを構築することを目的とした。Micro-TESEが施行されたNOA患者28名を対象に網羅的なゲノム解析により、single nucleotide variant (SNV)を検出し、精子が回収された症例と回収されなかった症例で関連解析を行った。関連解析により精子回収の有無と関連を示した上位10 SNVについて、別途収集したNOA患者5名をvalidation検体とし、サンガーシーケンスにより遺伝子型を判定した。網羅的なゲノム解析を行った28検体を学習用として機械学習を行い、validation検体を試験用として正解率を算出した。機械学習のアルゴリズムとしてRandom Forest、Support Vector Machine、Naive Bayes、Neural Networkを用いた。機械学習に用いるSNVを上位10 SNV間で増減させて正解率を比較し、最も正解率が高くなるSNV及びアルゴリズムを検討した。上位10 SNVの中には精巣で特異的に発現している遺伝子領域が存在した。この上位10 SNVを対象に機械学習を行った結果、精巣で特異的に発現している遺伝子領域のSNVを用いた場合にNaive Bayes及びNeural Networkアルゴリズムの正解率が最高値を示した。従って、ゲノム情報による機械学習モデルは、micro-TESEによる精子回収の予測に応用できると期待される。
すべて 2021 2020 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)
Journal of Human Genetics
巻: 65 ページ: 683~691
10.1038/s10038-020-0757-3
https://www.tokushima-u.ac.jp/ph/faculty/labo/inf/