研究課題
動脈硬化を主な原因とする循環器疾患は、近年、日本人にとって「がん」に並ぶ死因となりつつある。RBは細胞の増殖の正常化に寄与している。「がん」と同様に「循環器疾患」も血管細胞の異常増殖に起因することが明らかとされており、RBの再活性化は「循環器疾患」の予防としても有効かもしれない。本研究課題では、研究代表者らがこれまでに見出した「RB活性化成分」の動脈硬化に対する予防効果の可能性について検討する。2020年度も引き続き、ヒト大動脈血管平滑筋細胞、ヒト大動脈内皮細胞を用い、増殖因子の血小板由来成長因子(PDGF)と血管内皮増殖因子(VEGF)による過剰な細胞増殖に対し、RB活性化成分のおよぼす影響を評価した。これらの刺激によって誘導される細胞増殖に対し、RB活性化成分の有意な抑制能を認めている。さらに、増殖刺激により誘導される炎症性ケモカインのmRNA発現に対し、上記のRB活性化成分が抑制効果を示す結果の再現性が確認された。血中の単球は血管壁へ侵入しマクロファージに形質転換する。単球からマクロファージへの分化や増殖を刺激する因子であるM-CSFは、血管壁を構成する全ての細胞から分泌される。内膜に遊走してきた血管平滑筋細胞も、M-CSF受容体を発現し、マクロファージ様細胞に分化し、さらに動脈硬化が進展すると考えられている。そこで、ヒト大動脈血管平滑筋細胞にPDGF刺激を加えることでM-CSFの産生が増大する条件を決定した。その条件において、M-CSFの発現誘導が上記のRB活性化成分によって抑制されることを見出した。また、LPS刺激によるマウス由来マクロファージ(J774A.1)の細胞数増加もRB活性化成分によって抑制された。一方で、J774A.1においてLPS刺激によって誘導されるCOX-2やiNOSの発現に対し、今回、検討に用いたRB活性化成分は抑制能を示さなかった。
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