研究課題/領域番号 |
19K22775
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
川崎 優子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (30364045)
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研究分担者 |
内布 敦子 兵庫県立大学, 看護学部, 副学長 (20232861)
田村 和朗 近畿大学, 理工学部, 客員教授 (20278823)
須藤 保 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (50397824)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | がん看護学 / 看護技術 / がんゲノム解析 / 個別化医療 |
研究実績の概要 |
●調査1 がんゲノム医療に対する認識度調査 がん体験者の認識および意思決定プロセスを明確化するために、外来調査(がんゲノム外来受診者)265名、Web調査(一般がん患者)500名に質問紙調査を行った。 がんゲノム医療に対する認識について、がんゲノム外来受診者(a群)と一般のがん患者(b群)を比較したところ、集団特性は、a群は、①40歳以下、②Stage4、③化学療法、④家族にがんになった人がいる、⑤医療者や知人から情報を得る、b群は、①手術療法、②メディアから情報を得るなどの項目が高い(p<0.01)ことであった。認識は、a群は言葉および内容を知っていた者は90名(63.8%)、がん、ゲノム・遺伝子に関する基本的な知識11項目すべてにおいて知っている割合が高かった(p<0.01)。b群は、言葉および内容を知っていた者は51名(36.2%)、がんの遺伝子変異は次世代へすべて遺伝するわけではないこと、がんの組織を用いた遺伝子検査、がん遺伝子パネル検査を受ける条件があること、自分にあった薬が見つかる可能性、二次的所見や遺伝性腫瘍が見つかる可能性、遺伝子検査をうけることが家族のがん予防に繋がる可能性、これらの項目において知らない割合が高かった(p<0.01)、さらに費用、遺伝性腫瘍が見つかる可能性に不安を感じていた。 ●調査2 がんゲノム医療における看護連携の実態調査 がんゲノム医療における看護連携状況を明確化するために、がんゲノム医療に携わるがん看護専門看護師9名に質問紙調査を実施した。 がんゲノム医療における看護上の課題として、1)がんゲノム外来受診患者の包括的理解、2)がんゲノム医療に関する情報提供、3)遺伝子検査前後の心理的支援、4)がんゲノム医療のコーディネート、5)遺伝子検査にまつわる意思決定支援が抽出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染拡大に伴う影響により、調査実施期間を延長している。そのため、Precision Nursing Care Programの作成が遅れ、全体の研究期間が6ヵ月程度ずれる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
がん遺伝子パネル検査を受けるがん患者の意思決定過程に働きかけ、サイコエデュケーションを基盤としたPrecision Nursing Care Program*を作成し、以下の方法で効果検証を行う予定である。 1)対象:がん遺伝子パネル検査を受ける患者50名×がんゲノム医療中核拠点病院/がんゲノム医療連携病院10施設(がん患者500名)。 2)方法:①前年度の調査結果をもとにPrecision Nursing Care Programの作成、②効果検証として前後比較試験を多施設共同研究として実施、③調査結果をもとにプログラムの修正を行う。 *Precision Nursing Care Programの内容は、デブリーフィングを含む看護面接、患者の包括的理解に基づいたサイコエデュケーション、リスクアセスメント、意思決定支援、モニタリング、電話サポート、情報提供、遺伝カウンセリング、症状マネジメントなどであり、対象者の状況に合わせて、提供するものである。 本プログラムの提供場所としては、がんゲノム医療中核拠点・連携病院のがん相談支援センター、がんゲノム医療外来を想定している。本プログラムの対象者は、がん遺伝子パネル検査の結果、有効な治療法が見つからない群、分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害剤等の適応群、遺伝性腫瘍に関わる遺伝子変異保有群のいずれにも対応できるプログラムとして構成する予定である。本プログラムの提供期間は、がん遺伝子パネル検査を受ける前から、患者がもともとがん医療を受けていた医療機関へ連携を図るまでを対象としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大に伴う影響により、Precision Nursing Care Programの作成に必要な調査実施期間が延長した。それに伴い全体の研究機関が6ヵ月程度延長し、介入研究に必要な経費が次年度へ繰越となっている。
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