研究課題/領域番号 |
19K22775
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
川崎 優子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (30364045)
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研究分担者 |
内布 敦子 兵庫県立大学, 看護学部, 副学長 (20232861)
田村 和朗 近畿大学, 理工学部, 客員教授 (20278823)
須藤 保 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (50397824)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | がん看護学 / 看護技術 / がんゲノム解析 / 個別化医療 |
研究実績の概要 |
●調査1 がんゲノム医療における看護連携の実態調査1 【調査概要】 1.研究協力者:がんゲノム医療に携わるがん/遺伝看護専門看護師9名。2.データ収集方法:自記式質問紙調査。3.データ分析方法:『院内連携関連』と『院外連携関連』に分けて分類。【結果】1.院内連携:化学療法の有害事象対策、がん遺伝子パネル検査受検に関わる意思決定支援、受検後の精神的支援、遺伝カウンセリングを希望しない場合の継続支援等において、部門を超えて多職種連携を図っていた。課題としては、外来のマンパワー不足、院内マニュアルの未整備、がんゲノム医療に関する教育支援不足が指摘された。 2.院外連携: 療養生活上の希望・価値観・気がかり、がんゲノム医療に対する期待や認識、症状マネジメント状況、がん遺伝子パネル検査に対する患者・家族の理解・認識・反応などを、看護情報提供書により共有し継続支援のための連携を図っていた。課題としては、施設間で共有すべき看護情報の内容が不明瞭、がん患者が抱える課題が共有されていない、看護連携システムが未整備であることが指摘された。
●調査2 がんゲノム医療における看護連携の実態調査2 【調査概要】1.対象:がんゲノムプロファイリング検査に携わるがん看護専門看護師4名が対応したがん患者 265名の記録。2.調査方法:質問紙調査。3.分析方法:必要となる看護ケアやシステムの内容を抽出し、内容分析の手法を用いて分析した。【結果】1.がん看護専門看護師が必要と感じた看護ケアやシステム:がんゲノムプロファイリング検査をわかりやすく理解するための情報提供、患者・家族の意思/価値観を引き出す関り、がんゲノムプロファイリング検査に基づくがん医療を推進するためのシステム調整/人材育成、遺伝カウンセリング、緩和ケアの拡充、受検にまつわる意思決定支援、予期せぬ結果に対する心理的支援、以上7つのカテゴリが抽出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染拡大に伴う影響により、調査実施期間を延長している。そのため、Precision Nursing Care Programの作成が遅れ、全体の研究期間を延長している。
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今後の研究の推進方策 |
がん遺伝子パネル検査を受けるがん患者の意思決定過程に働きかけ、サイコエデュケーションを基盤としたPrecision Nursing Care Program*を作成し、以下の方法で効果検証を行う予定である。 1)対象:がん遺伝子パネル検査を受ける患者50名×がんゲノム医療中核拠点病院/がんゲノム医療連携病院10施設(がん患者500名)。 2)方法:①前年度の調査結果をもとにPrecision Nursing Care Programの作成、②効果検証として前後比較試験を多施設共同研究として実施、③調査結果をもとにプログラムの修正を行う。 *Precision Nursing Care Programの内容は、デブリーフィングを含む看護面接、患者の包括的理解に基づいたサイコエデュケーション、リスクアセスメント、意思決定支援、モニタリング、電話サポート、情報提供、遺伝カウンセリング、症状マネジメントなどであり、対象者の状況に合わせて、提供するものである。 本プログラムの提供場所としては、がんゲノム医療中核拠点・連携病院のがん相談支援センター、がんゲノム医療外来を想定している。本プログラムの対象者は、がん遺伝子パネル検査の結果、有効な治療法が見つからない群、分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害剤等の適応群、遺伝性腫瘍に関わる遺伝子変異保有群のいずれにも対応できるプログラムとして構成する予定である。本プログラムの提供期間は、がん遺伝子パネル検査を受ける前から、患者がもともとがん医療を受けていた医療機関へ連携を図るまでを対象としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大に伴う影響により、Precision Nursing Care Programの作成に必要な調査実施期間が延長した。それに伴い介入研究に必要な経費が次年度へ繰越となっている。
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