在宅療養中の肺がんやCOPD患者の自己録音した肺音データを自動分析し、これと身体症状セルフモニタリング結果を統合し、異常判別を行うセルフ身体診査支援システムの開発を行なった。 大村と研究協力者・青柳裕介は、音響特徴からロンカイを検出する手法を提案した。また,提案手法をシステムに実装した。システムにはiOSおよびAndroid端末で処理を行い、肺音は聴診器デジタル化ユニットネクステートを経由し取り込んだ。外崎と研究協力者・鈴木美穂子は、ロンカイとウィーズを混在させたデモンストレーション音源をICBHI2017のデータベースより抽出し、急性期病院在職中の看護師8人を対象に識別精度の検証を行った。その結果を用いて上述のシステムの精度を向上させた。このシステムの運用に向けた最終検証の段階まで開発を進めた。今後、開発したシステムを実際に運用して患者からデータを取得することにより、セルフ身体診査支援システムがセルフケア能力の向上や日常生活内の行動変容支援に有用かどうかなどの検証が重要な課題である。 外崎、研究協力者・田中芳治と鈴木美穂子は、慢性呼吸器疾患患者のセルフケア能力の向上に寄与する日常生活内の行動変容支援に関する文献検索(システマティクレビューとメタアナリシス)を実施し、論文として公表した。 田畑は、上述のシステムによって収集されるデータを解析するための方法論の研究を行った。本研究で収集されるデータの多くがカテゴリカルデータであるため、複数の変数間の関連を調べるために分割表解析におけるモデル構築、パラメータの推定法、モデルの適合度検定統計量を与えた。
|