本研究では、局所加温時および全身加温時の皮膚血管拡張反応が、ガラニン受容体阻害薬により抑制されるのかどうかを検討した。前腕4部位に、マイクロダイアリシスのチューブを挿入し、それぞれ以下の溶液を還流させた: ①リンゲル溶液 (コントロール)、②ガラニン受容体2阻害薬 (M871)、③ガラニン受容体3阻害薬 (SNAP 37889)、④非選択的ガラニン受容体阻害薬(M40)。いずれの阻害薬も、局所加温時の皮膚血管拡張に影響しなかったが、全身加温時の皮膚血管拡張は、M40により部分的に抑制された。したがって、ガラニン受容体1は、局所加温でなく、全身加温による皮膚血管拡張にのみ寄与することが示唆される。一方で、皮膚透析液を分析した結果、局所加温時、全身加温時いずれの状況においても、ガラニン及びガラニン様ペプチドの濃度の上昇は見られなかった。本年度は、全身加温実験の血液データの解析を進めている。加温前と、加温終了直前に、指先から採血を行った。採血した血液を遠心分離し、血清のサンプルを得た。そのサンプルを、ELISAを用いて解析し、ガラニン及びガラニン様ペプチドの濃度を評価する。上述のように、全身加温時にガラニン受容体1が関与することが示唆されたことから、血液中のガラニンもしくはガラニン様ペプチドの濃度が上昇していると予想される。すでに論文執筆を開始しており、上述の結果が揃い次第、早急に論文投稿する。
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