研究課題/領域番号 |
19K22802
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大野 欽司 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (80397455)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | サルコペニア / 廃用性筋萎縮 / 神経筋接合部 / リボタグマウス / 遺伝子発現プロファイル |
研究実績の概要 |
サルコペニアにおける神経筋接合部(NMJ)信号伝達障害が近年注目されており、廃用性筋萎縮を含めてNMJ信号伝達障害はこれら筋萎縮病態の一次的な原因である可能性が示されている。サルコペニアモデルマウスの脊髄運動神経細胞(SMN)とNMJ筋終板において、細胞特異的なリボゾームタンパクRPL22へのHAタグの付加を可能にするRiboTagマウスを用いた網羅的遺伝子発現プロファイリング解析を行い、サルコペニアにより発現が変動するSMN分子・筋終板分子を同定し、iPS細胞から構築をしたin vitro NMJならびにノックアウトマウスによる機能解析に繋げることを目的とした。 令和2年度に細胞特異的なリボゾームタンパクRPL22へのHAタグの付加を可能にするRiboTagマウスを用いたNMJ筋終板の網羅的な遺伝子発現プロファイリング解析を論文にまとめて報告した(Huang et al. Front Mol Neurosci 2020, 13: 154)。サルコペニアにおけるSMNとNMJ筋終板の網羅的な遺伝子発現解析を目的として、サルコペニアモデルマウスとRiboTagマウスのかけ合わせたマウスの脊髄と骨格筋のRNA-seq解析を現在行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞特異的なリボゾームタンパクRPL22へのHAタグの付加を可能にするRiboTagマウスを用いたNMJ筋終板の網羅的な遺伝子発現プロファイリングを明らかにし、サルコペニアモデルマウスへの展開を開始できた。
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今後の研究の推進方策 |
サルコペニアにより発現が変動するSNM分子・NMJ筋終板分子を明らかにする。その機能解析を行うために、CRISPR/Cas9によるiPS細胞のノックアウト実験系を確立を行なった。iPS細胞から作成するin vitro神経筋接合部の構築実験を開始しており、この系を使ってサルコペニアのNMJ病態解明を今後さらに進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
RNA-seq解析の低価格下などによりRiboTagマウスを用いた骨格筋特異的・神経筋接合部特異的・脊髄前角細胞特異的な遺伝子発現プロファイル解析が予定よりも安価に行うことができた。iPS細胞培養系・筋分化誘導系に当初の予想よりも高価な試薬が必要であることが判明し令和3年度への予算の繰越を行った。
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