研究課題/領域番号 |
19K22804
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
野嶌 一平 信州大学, 医学部, 准教授(特定雇用) (20646286)
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研究分担者 |
菅田 陽怜 大分大学, 福祉健康科学部, 助教 (30721500)
金沢 星慶 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任助教 (60744993)
松井 佑介 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (90761495)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 歩行 / ネットワーク解析 / フィードバック |
研究実績の概要 |
歩行動作時の脳波および筋電図計測から、1)生体信号の時空間ネットワーク構造に着目した手法を使った中枢神経系活動評価を確立すること、2)パーキンソン病患者や脳卒中などの疾患特異的な歩行障害に関連する中枢神経系ネットワーク構造の破綻を明らかにすること、3)明らかとされた異常ネットワークへの介入を通して運動機能改善を目指すこと、以上の3点を主要な目的としている。 2019年度は、研究代表者の所属変更に伴い、実験環境の整備に時間を要した。そのため、当初予定に比べ遅れが見られているが、実験開始に向けたセットアップは完了し、また倫理申請も承認されている。機器のセットアップを通しては、トレッドミルを使った歩行課題の実施を予定にしていたが、モーターからのノイズの混入が非常に大きくなることが明らかとなり、平地での自由歩行下での生体情報計測へと一部変更する予定である。今後、機器の改良なども含め、トレッドミルおよび平地での両条件での計測を進めていくこととする。歩行時の運動機能評価に関しては、加速度計および測域センサを使用した関節運動や下肢の運動リズムの評価方法をすでに確立しており、脳活動との関係性について網羅的な検討を行っていく予定である。 一方、臨床におけるデータ収集は今後新規に協力施設を開拓していく必要がある。パーキンソン病患者や脳卒中患者といった歩行異常を呈する患者の歩行時中枢神経系ネットワーク活動の異常検出を想定しているため、対象疾患患者の多くおられる近隣施設への協力要請を積極的に行っていく。また、本研究計画で想定したいた共同施設での継続したデータ収集の可能性などについても確認・調整していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の所属変更に伴う実験環境の構築および倫理申請に時間を要した。現在は実験開始に向けたセットアップは完了しており、またサンプルデータを使った動作時中枢神経系ネットワークのオフライン解析の準備はほぼ完了している。 今年度は、リアルタイムでの評価システムの構築を早急に確立させる。また、疾患特異的な歩行障害を有するパーキンソン病患者または脳卒中患者を対象とした臨床応用を視野に入れていくためにも、新しい環境での実験参加施設の開拓を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
今年度中には健常成人を対象とした歩行時脳活動測定から、歩行に関連する中枢神経系ネットワーク構造の抽出方法を確立する予定である。歩行における運動学的な評価手法については、評価手法をすでに確立しており、身体運動と脳ネットワーク活動との関係性を網羅的に検討していく。また、臨床データの収集可能な協力施設を早急に見つけ、疾患特異的な異常歩行に関連する脳ネットワーク構造を明らかにしていくことも、本年度の目標である。 これらのオフラインでの評価に加え、今年度は歩行時の脳ネットワークへの介入のためのリアルタイムフィードバックシステムの開発にも取り掛かる。特に歩行異常に関連する破綻したネットワークを可視化できる、高齢者にもわかりやすい指標を使ったシステムの開発を目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、当初計画で見込んでいたよりも安価に研究が進んだことがあげられる。次年度使用額に関しては、7月納品予定の物品購入および令和2年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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