最終年度は、glyoxalaseシステムを活性化させる化合物をマウスに長期投与し、加齢に伴う筋機能低下を防ぐことができるか検討した。 具体的には、老齢(87週齢)の雄性C57BL/6マウスに対して化合物X(10、50、100 nmol/kg)を1日1回、1カ月間皮下投与した(各群n=4-6)。溶媒投与群(0 nmol/kg)を陰性対照群とし、若齢(20週齢)マウス群を若齢対照群とした。 投与期間終了後、前脛骨筋を採取し、解析に用いた。前脛骨筋に対して免疫組織化学染色法による筋線維横断面積(CSA)や最小フェレット径(MFD)、血管新生マーカー分子であるCD31の測定を行った。その結果、CSAおよびMFDでは、10 nmol/kg投与群において陰性対照群と比較して増加傾向が見られ、若齢対照群と類似した分布になることが認められた。また50、100 nmol/kg投与群において陰性対照群と比較して、CSAおよびMFDの減少傾向が見られた。血管新生マーカー分子であるCD31では、筋線維数に対するCD31の個数により算出した結果、50、100 nmol/kg投与群において陰性対照群と比較して増加傾向が見られた。以上の結果は、化合物Xには老化に伴う筋萎縮の抑制効果があることを示唆するものであり、glyoxalaseシステムの活性化が骨格筋老化抑制に有効であることが期待される。
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