研究課題
本研究では骨格筋萎縮の新たな制御機構について、これまで明らかにされてきた筋特異的蛋白質群の分解活性化機構とは異なるメカニズムを探索する。本研究の目的は、骨格筋細胞に備わっっている筋萎縮ストレス適応能力という新たな視点から筋萎縮の分子機構を明らかにすることである。申請者は、筋萎縮ストレスにより骨格筋細胞特異的な新規の長鎖非コードRNAがIRS-1遺伝子領域から誘導されることを明らかにした。本研究では、この新規長鎖非コードRNAが筋萎縮ストレス時に誘導されるメカニズムと、筋萎縮抵抗性を誘導するメカニズムを明らかにする。さらに長鎖非コードRNAとホスト遺伝子との関連性から筋萎縮抵抗性獲得の遺伝子プログラムを明らかにする。2023年度は最終分化させた筋管細胞に筋萎縮ストレスを暴露し、脱分化を誘導する環境下での長鎖非コードRNAの転写制御機構について検討を行った。長鎖非コードRNAのプロモーター解析を行い、長鎖非コードRNAの転写に関与する候補転写因子の絞り込みを行った。さらに、候補転写因子の活性化解析および候補転写因子結合領域の阻害実験を行った結果、筋管細胞に筋萎縮ストレスを暴露すると、長鎖非コードRNA特異的な転写因子(Sp1)が活性化して長鎖非コードRNAの転写が誘導されることを明らかにした。また、未分化な筋芽細胞や筋細胞に筋萎縮ストレスを暴露してもSp1は活性化せず、長鎖非コードRNAの転写活性化はおこらないことを明らかにした。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 87 ページ: 191~196
10.1093/bbb/zbac192