研究課題/領域番号 |
19K22820
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
町田 修一 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 教授 (40421226)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | レジスタンス運動 / 枇杷葉 / 筋肥大 |
研究実績の概要 |
加齢に伴い骨格筋の筋肉量および筋力は低下する。しかし、この加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)の発症機序の詳細については十分に解明されていない。レジスタンストレーニングはサルコペニアに予防・改善に有効であることが確認されている。漢方薬は、加齢に伴う体の不快や不調、病後・術後の体力低下や虚弱体質の改善などの目的に使われることが多く、サルコペニア該当者やその予備軍が何かしらの漢方薬を日常的・長期的に服用していることが予想される。本研究では、サルコペニアモデル動物を用いて、漢方薬服用がレジスタンストレーニングによる筋肥大に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。本年度は、電気刺激による一過性レジスタンス運動によりタンパク質合成系の活性化を促進させる数種類の漢方薬をスクリーニングした。その結果、レジスタンス運動によるp70S6K1の活性化さらに増強する漢方として枇杷葉を見出した。次に、自然閉経後の16ヶ月齢F344雌性ラットを用いて、長期的な枇杷葉の服用とレジスタンストレーニングが骨格筋の量および質に及ぼす影響について検証した。その結果、運動トレーニング時の最大負荷が枇杷葉の服用によって高い傾向を示した。さらに、長期的な枇杷葉の服用だけで骨格筋の湿重量を有意に増加させた。しかし、長期的な枇杷葉の服用とレジスタンストレーニングの組み合わせ結果では、筋湿重量に影響は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一過性のレジスタンス運動による筋タンパク質合成系の活性化を増強させる漢方薬はスクリーニングできたものの、自然閉経後のラットにレジスタンストレーニングを8週間実施した結果、期待していた筋肥大への相乗効果が認められなかった。また、骨格筋サンプルを用いた分子生物学的解析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
16ヶ月齢だけでなく、さらに高齢期ラットを用いて検討する。 本研究では、最終的には閉経前後の長期的な漢方薬服用が、筋の再生や肥大に中心的な役割を担う筋サテライト細胞のエビゲノムに及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。そのため、分子生物学的解析を加速させるために、研究支援者を雇用し、筋サテライト細胞で特異的に変動するゲノム修飾(DNAメチル化、ヒストンアセチル化)を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、サルコペニアの表現型が認められる高齢期ラットを実験に用いる計画であった。しかし、長期的な漢方服用とレジスタンストレーニングの条件設定の過程で、2つの組み合わせによる相乗効果が骨格筋で認められなかったため、条件設定に時間がかかってしまった。また、骨格筋サンプルを用いて分子生物学的解析を実施することが出来なった。
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