研究課題/領域番号 |
19K22820
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
町田 修一 順天堂大学, 大学院スポーツ健康科学研究科, 教授 (40421226)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | レジスタンス運動 / 枇杷葉 / 筋肥大 |
研究実績の概要 |
加齢に伴い骨格筋の筋肉量および筋力は低下する。しかし、この加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)の発症機序の詳細については十分に解明されていない。レジスタンストレーニングはサルコペニアに予防・改善に有効であることが確認されている。漢方薬は、加齢に伴う体の不快や不調、病後・術後の体力低下や虚弱体質の改善などの目的に使われることが多く、サルコペニア該当者やその予備軍が何かしらの漢方薬を日常的・長期的に服用していることが予想される。研究計画では閉経前後の長期的な漢方薬服用が、筋の再生や肥大に中心的な役割を担う筋サテライト細胞のエビゲノムに及ぼす影響を明らかにすることを目的としていた。2020年度は、クライミングによるレジスタンストレーニングと漢方薬の組み合わせた動物実験モデルを用いて、漢方薬を服用するタイミング、すなわちエストロゲン分泌の異なる状態の閉経前後での漢方薬摂取が、レジスタンストレーニングによる筋肥大および筋サテライト細胞へ及ぼす影響について検討した。具体的には、筋肥大効果を有する漢方薬として同定された枇杷葉を用いて、自然閉経後の雌性ラットを安静群、クライミング運動群、漢方投与群、漢方投与+クライミング運動群の4群に分類し、レジスタンストレーニングと漢方薬の組み合わせに筋肥大効果について検討した。その結果、枇杷葉が閉経後の筋肉量を増加させたが、レジスタンストレーニングとの相乗効果は認められなかった。2021年度は、漢方薬とクライミング運動が筋タンパク質翻訳容量(Ribosome RNA 18S and 28S)や筋サテライト細胞の増殖能や筋分化に関連する転写因子群の発現様式およびDNAメチル化について分析・解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
筋サテライト細胞の増殖や筋分化を修飾する転写因子群(Pax7, Twist2, MyoD, myogenin等)の共発現様式を組織および細胞レベルで定量化するために、特殊な多重免疫染色法を確立する必要があり、当初の計画よりも分析と解析に時間を要してしまい遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、最終的には閉経前後の長期的な漢方薬服用が、筋の再生や肥大に中心的な役割を担う筋サテライト細胞のエビゲノムに及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。そのため、筋サテライト細胞で特異的に変動するDNAメチル化等を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
サルコペニアの表現型が認められる高齢期ラットを用いて、漢方服用とレジスタンストレーニングを実施したが、分析・解析の条件設定で時間が取られてしまい、骨格筋サンプルを用いて分子生物学的解析を実施することが出来なった。
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