現在14ペアの実験が完了している。COVID19の影響により、学内実習による保護犬飼育が中止となり、現在は保護団体の協力を得て研究を実施している。14ペアの解析の結果、譲渡3ヶ月後頃から、イヌとヒトの行動の同調性がみられる傾向があった。またイヌにおいては、同じく譲渡3ヶ月で全体的な活動量に落ち着きがみられ、活動と休息が明確化した。メリハリのある生活リズムによって、睡眠の質が上がり、それに伴ってストレス値が減少したと解釈した。内分泌については、飼い主宅での飼育期間に伴い、イヌのコルチゾール値が次第に減少する傾向がみられた。一方、ヒトにおいてはコルチゾールが増加傾向にあった。夜間における活動量が増加する傾向がみられ、休息の質が下がったことが、ストレス値の上昇につながったと解釈できる。ヒトの心理アンケート調査では、飼育経験に伴って社会的関係の項目が有意に増加した。今後は腸内細菌の解析を進め、行動と内分泌、腸内細菌叢、心理尺度の関連性を調査していく。
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