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2019 年度 実施状況報告書

胃・小腸-骨格筋間に存在する臓器間ネットワークと骨格筋量調節における役割解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K22825
研究機関豊橋創造大学

研究代表者

後藤 勝正 (山下勝正)  豊橋創造大学, 保健医療学部, 教授 (70239961)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2021-03-31
キーワード臓器間ネットワーク / 消化管ホルモン / 骨格筋 / 胃抑制性ペプチド
研究実績の概要

超高齢社会にある我が国において、身体諸機能の退行性変化を抑制して、健康寿命を延伸することが求められている。健康寿命の延伸には、運動器である骨格筋量と機能の維持が必須である。一般に、筋力は筋量に比例することから、骨格筋量を維持・増量が重要となる。最近、臓器・組織間の連関・相互作用「臓器間ネットワーク」による生体諸機能の調節機構の存在が明らかになった。骨格筋細胞では、骨格筋とは無関係であると考えられてきた食事により分泌が誘発される消化管ホルモンの受容体の発現が確認された。しかし、骨格筋細胞における消化管ホルモンその生理学的意義は不明である。そこで本研究では、骨格筋量を調節する臓器間ネットワークにおける消化管ホルモン「胃抑制性ポリペプチド(GIP)」の役割を解明し、経口の食事の新たな生理学的意義を提示することを目的として、2年計画で実施する。2019年度は研究1年目であり、神経系や内分泌系の影響がない培養細胞実験ならびに動物実験により、骨格筋量調節におけるGIPの役割を追究すべく実験を実施した。培養細胞実験では、C2C12細胞を用いて、培養筋細胞にGIPを投与し、細胞の増殖および筋管形成、筋管細胞の肥大(成長)に及ぼすGIPの影響を追究した。GIPはdipeptidyl peptidase-4(DPP-4)により速やかに分解され、不活性化することが知られている。そこで、難分解性のD-Ala2 GIP(Mouse,1-42)を合成して、まずはC2C12細胞に対する効果を検討した。その結果、D-Ala2 GIP(Mouse,1-42)でも筋管形成および筋管細胞の肥大が引き起こされたことから、GIP投与と同様の効果が得られた。現在、マウス(C57BL/6J、雄性)を用いて、廃用性萎縮、筋肥大モデルを作成し、GIP投与による筋萎縮の軽減あるいは筋肥大の増強の有無を検討を開始している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は2年計画で実施され、まず1年目は培養骨格筋細胞ならびに実験動物(マウス)を用いて、骨格筋細胞に対するGIP投与の影響を評価する予定であったが、ほぼ計画通りに実施できている。

今後の研究の推進方策

研究2年目は、投与されたGIPが骨格筋細胞に作用をもたらす分子機序を追究する予定である。培養骨格筋細胞を用いた実験では、GIP受容体をノックダウンしてGIP受容体機能不全細胞も用いた検討を行う。また、生後100週齢の加齢マウスを用いて、骨格筋可塑性に対するD-Ala2 GIP(Mouse,1-42)投与の影響を評価する予定である。一連の研究により、消化管ホルモンであるGIPによる胃・小腸-骨格筋間に存在する臓器間ネットワークによる骨格筋機能調節機構を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

研究計画の内、本年度はサンプル作成に注力し、分析の一部を次年度に繰り越したことから、試薬など消耗品に係る経費を次年度に繰越すこととなった。したがって、持ち越されら分析にこの繰越金は充当される。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 2件)

  • [国際共同研究] Minnesota University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Minnesota University
  • [雑誌論文] 筋トレの生化学:筋肥大のメカニズム2020

    • 著者名/発表者名
      後藤勝正
    • 雑誌名

      臨床リハビリテーション

      巻: 29 ページ: 116-122

  • [雑誌論文] The protective effect of Brazilian propolis against glycation stress in mouse skeletal muscle2019

    • 著者名/発表者名
      Egawa, T., Ohno, Y., Yokoyama, S., Yokokawa, T., Tsuda, S., Goto, K., Hayashi, T.
    • 雑誌名

      Foods

      巻: 8 ページ: 439~439

    • DOI

      10.3390/foods8100439

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 宇宙医学研究からロコモティブシンドロームを解明する2019

    • 著者名/発表者名
      後藤勝正
    • 雑誌名

      整形災害外科

      巻: 62 ページ: 763-770

  • [学会発表] 乳酸受容体刺激が骨格筋量に及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      大野善隆,須田陽平,安藤孝輝,松井佑樹,伊藤貴史,金子陽加里,大山明子,横山真吾,江川達郎,後藤勝正
    • 学会等名
      第24回日本体力医学会東海地方会学術集会
  • [学会発表] A possible of gastric inhibitory polypeptide in the regulation of skeletal muscle mass2020

    • 著者名/発表者名
      Goto, K., Aoshima, M., Hagiwara, A., Yamashita, T., Ortuste Quiroga, H.P., Yokoyama, S.
    • 学会等名
      第97回日本生理学会大会
  • [学会発表] 持続的なTRPV4チャネルの活性化と不活性化による筋管細胞の適応2019

    • 著者名/発表者名
      萩原ありさ,山下智大,Ortuste Quiroga, H.P.,伊藤理香,大野善隆,横山真吾,後藤勝正
    • 学会等名
      第74回日本体力医学会大会
  • [学会発表] 筋細胞の分化におけるHSP70特異的核輸送体Hikeshiの役割2019

    • 著者名/発表者名
      山下智大,Ortuste Quiroga, H.P.,萩原ありさ,横山真吾,大野善隆,杉浦崇夫,大平充宣,吉岡利忠,後藤勝正
    • 学会等名
      第74回日本体力医学会大会
  • [学会発表] Some aspects of mechanosensitive ion channels in myogenesis2019

    • 著者名/発表者名
      Ortuste Quiroga, H.P., Yamashita, Y., Hagiwara, A., Yokoyama, S., Suzuki, Y., Tominaga, M., Goto, K.
    • 学会等名
      第74回日本体力医学会大会
  • [学会発表] 自発走運動によるマウス骨格筋適応に対する糖化ストレスの影響2019

    • 著者名/発表者名
      江川達郎,大野善隆,横山真吾,小川岳史,後藤勝正,林達也
    • 学会等名
      第74回日本体力医学会大会
  • [学会発表] 長期間の機能的過負荷による筋サテライト細胞と筋タンパク合成シグナルの変化2019

    • 著者名/発表者名
      杉浦崇夫,森廣壮馬,芝口翼,内藤久士,後藤勝正,吉岡利忠
    • 学会等名
      第74回日本体力医学会大会
  • [学会発表] Functional properties of a novel mechanosensitive Ca2+-permeable channel in mouse muscle satellite cells2019

    • 著者名/発表者名
      Ortuste Quiroga, H.P., Yamashita, T., Hagiwara, A., Yokoyama, S., Suzuki, Y., Tominaga, M., Goto, K.
    • 学会等名
      Frontiers in Myogenesis, Skeletal Muscle: Development, Regeneration and Disease
    • 国際学会
  • [学会発表] HSP70-specific nuclear transporter Hikeshi in myogenic differentiation2019

    • 著者名/発表者名
      Yamashita, T., Ortuste Quiroga, H.P., Hagiwara, A., Yokoyama, S., Ohno, Y., Sugiura, T., Ohira, Y., Yoshioka, T., Goto, K.
    • 学会等名
      Frontiers in Myogenesis, Skeletal Muscle: Development, Regeneration and Disease
    • 国際学会
  • [学会発表] ACL断裂症例のオーダーメイドリハプログラムの実現に向けて(第6報)-筋線維タイプからみた至適な手術日-2019

    • 著者名/発表者名
      小林哲士,植原健二,木城智,皆川直毅,鈴木智裕,小倉裕司,黒坂光寿,後藤勝正,仁木久照
    • 学会等名
      第34回日本整形外科学会基礎学術集会
  • [学会発表] 骨格筋由来乳酸による骨格筋量調整に関する基礎的研究2019

    • 著者名/発表者名
      大野善隆,伊藤貴史,松井佑樹,安藤孝輝,須田陽平,横山真吾,後藤勝正
    • 学会等名
      第24回日本基礎理学療法学会学術大会
  • [学会発表] 骨格筋細胞可塑性発現におけるTRPV4と機械的刺激の受容2019

    • 著者名/発表者名
      萩原ありさ,大野善隆,横山真吾,後藤勝正
    • 学会等名
      第65回日本宇宙航空環境医学会大会
  • [学会発表] 後肢懸垂時に発生する糖化ストレスによるマウスヒラメ筋萎縮への影響2019

    • 著者名/発表者名
      江川達郎,横川拓海,木戸康平,後藤勝正,林達也
    • 学会等名
      第65回日本宇宙航空環境医学会大会

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公開日: 2021-01-27  

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