研究課題/領域番号 |
19K22827
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
長野 明紀 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30392054)
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研究分担者 |
藤本 雅大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (10732919)
伊坂 忠夫 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30247811)
佐藤 隆彦 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (50780813)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | DLT法 / NLT法 / Omnidirectional camera |
研究実績の概要 |
本研究開発の目的は全天球カメラを用いた高精度な3次元動作解析システムを構築することである。3次元的な動作解析には先行研究の中で確立された手法、Direct Linear Transformation法(DLT法)とNon-Linear Transformation法(NLT法)がある。DLT法とNLT法では、いずれにおいても高い精度が得られることが知られている。一方でこれらの手法にも問題点が存在する。DLT法及びNLT法は通常の光学式カメラの構造を基盤とした手法であり、透視投影モデルを前提としている。そのためカメラで撮影出来る画角が限られるという問題がある。特にダイナミックな動作を対象とする場合には多数のカメラを用いる必要がある。これには大きなコストが掛かり、セッティングに要する時間も長くなり、求められる技術も高くなる。 そこで本研究開発では、画角の非常に広い全天球カメラを用い、これらの問題を一挙に解決することを目指す。全天球カメラを用いて動作解析を実施するためには、DLT法・NLT法とは異なる新たな3次元座標獲得のアルゴリズムを開発する必要がある。これにより動作解析システムが高い精度を保ったまま劇的に安価になり、容易に使用できるようになり、現在よりもより幅広い分野で動作解析の手法が活用される様になると期待される。 本年度については、全天球カメラを用いて、DLT法に着想を得た新たな手法を開発した。開発に際してはまず、アイディアを実現するための数式群を構築した。次いで、これらの数式群をプログラムとして実装した。実装には Python 及び関連するモジュールを用いた。更に、実験室で撮影した既知のコントロールポイントの座標値を用い、構築した手法の検証を実施した。その結果、本手法の誤差は 0.1% 程度のオーダーであり、従来の DLT 法と同様の精度が期待できる事が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究開発では大きく分けて二つの課題を実現する事を目指している。すなわち、(1)DLT法に着想を得た手法、並びに(2)NLT法に着想を得た手法を、全天球カメラを用いて実現する事である。それぞれについて(a)数式群の構築、(b)プログラムとしての実装、(c)検証実験、(d)高精度化・高性能化、(e)システム全体としての利便性の向上、を実現する。今年度はDLT法に着想を得た手法について、数式群の構築・プログラムとしての実装・検証実験を行った。これは予定通りの進捗であり、本研究開発はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、主にNLT法に着想を得た手法について、数式群の構築・プログラムとしての実装・検証実験を行う。これは2019年度に開発した手法とは異なる数学的関係に基づいたものであり、全てのプロセスを新規に進める必要がある。また、2019年度に挙げた成果の学会発表及び論文化を行う。 さらに、DLT法・NLT法に着想を得た両手法について、高精度化・高性能化・システム全体としての利便性の向上も進める。具体的には深層学習を用いたマーカーレス化、並びに専用ハードウェアの構築を実施する。また、2021年度に実施予定のスポーツ動作を対象とした大規模な検証実験に向けて予備的検討を開始する。
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