研究課題/領域番号 |
19K22831
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研究機関 | 大阪国際大学 |
研究代表者 |
井上 芳光 大阪国際大学, 人間科学部, 名誉教授 (70144566)
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研究分担者 |
天野 達郎 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (60734522)
近藤 徳彦 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70215458)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 熱中症 / マイクロニードル / 経皮薬物送達 / イオントフォレーシス / エクリン汗腺 / 角質 |
研究実績の概要 |
R3年度にはマイクロニードルパッチとイオントフォレーシスを併用することで.皮膚の薬理的な透過性が高まって発汗応答が向上するかどうかを検討した。健康な成人男女20名程度を対象に①マイクロニードルパッチ処置後の皮膚バリア機能,②穿刺孔の数,③ピロカルピンに対する発汗応答を前腕部および手掌部で検討した。その結果,男女とも同様にマイクロニードルパッチ処置によって皮膚バリア機能が低下し,その応答は手掌部では15分間しか持続しないものの,前腕部では60分間は持続するようであった。また男女ともに前腕部ではマイクロニードルパッチ処置によって90%程度は穿刺孔を形成できることを確認した。ただしこの応答は手掌部では染色液が湿潤してしまい定量的な評価が難しかった。マイクロニードルパッチ処置によって手掌部ではピロカルピン誘発性発汗量が大きく増大したものの,前腕部ではこの変化は認められなかった。この反応には性差があり,男性の方がマイクロニードル処置後の発汗量増加が顕著であった。 これらの成果について,実験前は予想していなかったほど手掌部での発汗増大が認められたため,薬剤の透過性がマイクロニードルパッチ処置によって期待以上に増加している可能性があった。この場合,体重が軽い子どもや高齢者では全身性の副作用を引き起こす懸念もあるため,子どもや高齢者を対象に実験をする前に,実際に薬剤の経皮投与量がどの程度増えていたのかを定量して方法の安全性を担保する必要がでた。R3年度末にこの課題に取り掛かり,イオントフォレーシスを行ったあとの残余検体(ピロカルピンを湿潤したコットン,イオントフォレーシス用カプセル,皮膚に残る薬液を回収したコットン)からピロカルピンを溶出して液体クロマトグラフィー質量分析計で解析することで,イオントフォレーシスによる薬剤投与量を定量する実験系を確立することができた。
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