研究課題/領域番号 |
19K22836
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
宮里 幹也 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (50291183)
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研究分担者 |
吉田 守克 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (70393212)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 生理活性ペプチド / 腸内細菌 / エネルギー代謝 / オーファンGPCR |
研究実績の概要 |
ヒトにおける摂食・エネルギー代謝調節は、多くの生理活性ペプチドによって複雑かつ精巧に制御されている。これまで申請者の研究室では、グレリンの発見やニューロメジンU(NMU)、ニューロメジンS(NMS)の同定に成功している。グレリンは強力な摂食亢進作用を有することが明らかとなり、NMUとNMSは摂食抑制物質であり、エネルギー消費の亢進をもたらす異化シグナルとして機能する。これらのペプチドだけでなく、摂食・エネルギー代謝を制御する因子の受容体の多くはGタンパク質共役型受容体(GPCR)である。近年、腸内細菌叢のバランス異常と肥満や糖尿病の病態形成の相関が明らかにされているが、細菌由来のペプチド性因子による直接的な関与は報告されていない。本研究では、腸内細菌叢より産生される新たなペプチド性因子を同定し、細胞や個体レベルでの機能解析を行い、新しいエネルギー代謝調節機構を解明することを目的とする。 消化器系に発現し、摂食やエネルギー代謝に関わることが既に知られている生理活性ペプチドの受容体に対し、腸内要物ペプチド画分を作用させ、細胞内Ca上昇を指標に系統的にスクリーニングを実施した。その結果、GPCR-Y発現細胞について、標的受容体に特異的なCa上昇の検出に成功した。本活性は既知のリガンドと異なる物性を示すことが明らかとなり、現在、精製を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腸内要物ペプチド画分より、GPCR-Y特異的なCa上昇活性の検出に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、活性を指標にイオン交換、逆相HPLC(現有設備)を組み合わせて精製する。精製したペプチドはペプチドシーケンサー及び質量分析計(ともに現有設備)を用いて構造決定する。同定したペプチドを化学合成し、受容体安定発現細胞に作用させ薬理学的性質を決定するとともに、動物への投与によりペプチドの機能解明を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定より新規ペプチドのスクリーニング期間が長くなったため、新規ペプチドの同定と機能解析まで進めることができず、次年度使用額が生じた。現在、活性を指標に精製を進めており、新規ペプチドの機能解析のための消耗品費、動物購入・飼育費、研究補助者のための人件費に充当する予定である。
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