研究課題/領域番号 |
19K22845
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
吉廣 卓哉 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (80362862)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | CSMA/CA / IEEE802.11 / 多重化 / RSSI |
研究実績の概要 |
2年度目にあたる本年度には、初年度に進めていたシミュレーション評価を、より現実的な条件で実施して精度を高めた。また、CTS/ACKを復調せずに検知する物理層処理に関して、ソフトウェア無線機を用いて基礎的な評価実験を行った。 まず、前者については、4基の無線基地局と20程度の無線端末が一定の領域にランダム配置されて密に存在するような現実的なシナリオを設定してシミュレーション評価を行い、提案手法により十分な性能向上が見込まれるであろうことを示した。まだプロトコル自体やパラメータ設定には改良の余地があるが、それでも十分に性能向上が期待できることが示された。 次に、物理層処理の部分については、シミュレーションではなく、実際に電波を発することで性能評価をすることが望ましい。このために、ソフトウェア無線機USRPとGNU Radioを用いて基礎的な実機実験を行った。基礎評価のため、USRP間を同軸ケーブルで結び、ケーブルにWi-Fiを模擬したOFDM波を流すことで無線通信を模擬した。実際に受信した波から電波強度情報を取得し、これをノイズ波形と合成したものに対して、信号:ノイズの比とCTS/ACKの検知確率の関係を調べた。その結果、しきい値を3dB程度の値にすれば、ほぼ100%の高確率でACK/CTSを検出できることがわかった。これは、これまでシミュレーションにより用いていたしきい値とほぼ一致しており、シミュレーション結果もある程度信頼できる結果であろうことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
物理層の基礎評価までを実施することができ、順調に進捗していると考えている。最終年度にはこの結果を踏まえたプロトコルの改善を行う予定であるが、予定通りに実行する準備が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
物理層の評価実験として、ケーブルを介した方法ではなく、アンテナを用いた無線通信による評価実験を予定する。また、物理層の実験結果からシミュレーションにおけるより現実的なパラメータ値を設定してシミュレーション評価をすること、また、提案プロトコルを改良することで、より効率の高い通信プロトコルを設計・評価することを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
ソフトウェア無線機の実験のためにソフトウェア開発費が必要であることがわかり、翌年度分からの前倒し執行を行ったが、最終的に見込んだ金額よりも開発費が低く抑えられたため、少額が翌年度への持ち越しとなった。翌年度への持ち越し分は、本来であれば翌年度に使用する予定の予算であるため、当初の翌年度の予算計画に従って、実機実験等のために使用する予定である。
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