• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

同種写像暗号に対する数理的技法による解読法の探求と計算量評価

研究課題

研究課題/領域番号 19K22847
研究機関九州大学

研究代表者

安田 雅哉  九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 准教授 (30536313)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワード同種写像暗号 / 楕円曲線 / 同種写像パス探索問題 / Velu公式 / 連立代数方程式 / グレブナー基底計算
研究実績の概要

近年,楕円曲線間の同種写像を利用した同種写像暗号はポスト量子暗号技術の1つとして期待されている.実際,2011年にJaoらが楕円曲線間の同種写像に基づく暗号方式を提案し,2017年末にはJaoらの方式を基にした鍵交換アルゴリズムSIKEがポスト量子暗号候補として米国標準技術研究所NISTに提出され,2019年1月末時点でSecond Round方式として選ばれている.本年度の研究では,同種写像暗号の安全性を支える数学的な計算問題の1つである同種写像パス探索問題に対して,楕円曲線が持つ代数的性質を利用した新しい解読法を開発すると共に,SIKEに対して実際の計算機による解読実験を行い解読可能性を検証した.より具体的には,同種写像に関するVeluの公式から得られる連立代数方程式に帰着し,グレブナー基底計算アルゴリズムによりその連立代数方程式を求解する解読法を開発した.また,Schoofらによる楕円曲線の位数計算法の一部の処理を同種写像問題の解読に適用した新しい代数的攻撃法も開発した.さらに,同種写像パス探索問題に対して現在最良の中間一致攻撃法と今回提案した代数的な攻撃法を組み合わせたハイブリッド型の解読法をソフトウェア実装し,SIKE方式に対する解読実験を行った.実験結果としては,同種写像の次数が3^15程度までは今回のハイブリッド攻撃でSIKE方式を解読できることを示すことができた.これらの研究成果は査読付き国際会議MathCryptと2つの国内会議JANT/SCISで発表した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

同種写像暗号の安全性を支える数学問題に対して,同種写像に関するVeluの公式を利用した新しい代数的な解読法を提案すると共に,実際の計算機による解読実験による安全性解析まで本年度行うことができた.さらに,査読付き国際会議1件と国内会議発表2件などの研究成果を着実に挙げており,当初の計画通り研究を進めることができている.

今後の研究の推進方策

同種写像暗号の安全性を支える数学問題に対して,楕円曲線上の自己準同型環の構造を利用した新しい解読法の開発にチャレンジすると共に,実際の計算機による解読実験による解析を通して既存の解読法と比較することを目指す.また,既存の攻撃法との組み合わせなども検討し,同種写像暗号に対する最良の解読アルゴリズムの研究開発を目指す.

次年度使用額が生じた理由

2019年度は理論的な解析に注力し,大規模実験用の高性能計算機の購入とデータ収集のためのアルバイトを必要としなかったため,物品費と人件費が当初の予定より大幅に下回った.次年度は,大規模実験の研究に移行するため,当初の予定通り計算機の購入と人件費に使用する予定である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 同種写像パス探索問題に対する中間一致攻撃のハイブリッド手法2020

    • 著者名/発表者名
      池松泰彦、深作亮也、工藤桃成、安田雅哉、高島克幸、横山和弘
    • 学会等名
      2020年暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS2020)
  • [学会発表] Algebraic approaches for solving isogeny problems of prime power degrees2019

    • 著者名/発表者名
      高橋康、工藤桃成、池松泰彦、安田雅哉、横山和弘
    • 学会等名
      MathCrypt 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] 同種写像問題に対する代数的求解法の解析と計算量評価2019

    • 著者名/発表者名
      高橋康、工藤桃成、池松泰彦、安田雅哉、横山和弘
    • 学会等名
      日本応用数理学会2019年度年会:「数論アルゴリズムとその応用」(JANT)セッション

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi