研究実績の概要 |
本研究では、2021年度は (a)ナッジエージェントの機能の検証、(b)エージェントの応援による被験者のモティベーションへの影響の調査、(c)ブーストエージェントのプロトタイプシステムの実装とナッジエージェントとの統合の可能性の検討などの研究活動を行なった。 具体的には、(a)クラウドソーシングを用いた実験によりナッジエージェントの機能の検証を行い、この成果を国際会議にて発表した。まず、Hang(2021)は、ビデオにより複数のナッジエージェントが社会的な行動をとる様子を提示することにより、被験者に利他的な行動(評価)をさせることが可能であることを示した。さらに、Osaka(2021)は、ネットワークを介したエージェントと被験者のWord Chain Game (日本語のしりとりに相当)を実施した。このとき、エージェントに肯定的な単語の選択をさせるうちに、被験者も無意識のうちにその単語の選択の傾向に引き込まれ、徐々に肯定的な単語を選択するようになることを示した。 さらに、(b)桂(2021)は、エージェントの応援がクライミング競技者のモティベーションを向上させるのに有効であることを示した。最後に、(c)ブーストエージェントのプロトタイプを実装し、そのコンセプトビデオを国際会議にて発表した(Goto, 2022)。今後、ナッジエージェントとブーストエージェントを統合することにより、新たなパーソナルAIエージェントを構築し、そのエージェントを用いることでユーザの意思決定を支援することが可能かどうかについて検討を行なった。
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