研究実績の概要 |
本研究の目的は,脳卒中患者に対するリハビリにおける最大の障壁「麻痺肢の学習性不使用」を克服するリハビリシステムを開発,実証することにある.慢性期脳卒中片麻痺患者は,麻痺肢の機能低下,健側肢の過剰使用により,麻痺肢を使用しないことを学習し使用頻度が低下することが知られており,学習性不使用と 呼ばれる.この学習性不使用は,脳に負の使用頻度依存可塑性を生じさせ,麻痺肢の運動制御に関わる脳領域が縮小する.この変化により,使用頻度がさらに低下 することで機能低下を助長し,さらなる脳領域の縮小をまねく,「使わなければ機能は失う」,まさに,負のサイクルである.本研究では,麻痺肢の使用頻度依 存可塑性を制御するため,表面筋電位計による両肢の使用状況を計測するウェアラブルセンサを開発し,患者ごとの理想的な筋電位パターンを強化することで正 の使用頻度依存可塑性を生み出す在宅ニューロリハビリシステムを創出する.
本年度においても,日常生活動作に おける両上肢の使用頻度を筋電位計を用いて定量的に評価することを目的とした. この目的のため, 日常生活においても両上肢の筋活動を計測可能なウェアラブル筋電位計の改良を行った. さらに,市販されている計測システムを購入し,開発したシステムとの精度検証を行った.得られた筋電位データから筋肉の使用頻度を定量的に評価する指標について改良点を検討した. 5名の被験者から取得した日常動作のデータを解析し,被験者間の個人差の保証や利き手の推定方法について検証を行った.
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