研究課題/領域番号 |
19K22857
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
亀田 能成 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (70283637)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
キーワード | VR / AR / ヒューマンインタフェース / スポーツ工学 / 複合現実感技術 / 画像解析 / 行動計測 / 臨場感 |
研究実績の概要 |
本研究の計画では3つの研究項目を立てた.(A) 事前での十分な説明とVR空間内での再確認フェーズの確立,(B-1)高臨場感技術によるプレッシャー要因の的確な提示,(B-2) プレッシャーコントロールレベルの計測,の3項目である. 初年度は,上記の(A),(B-1),(B-2)の三項目の研究に並列して着手した.特に,サッカーのボールフィードに関するスキルを取り上げて研究を推進できた.サッカーについては,コーチング技法がFIFAに規定されているので,その方法論のもと,パスワーク時に発生し得るプレッシャー 要因を幾つか挙げ,それに沿ったVR空間での高臨場感演出を実現した.具体的には,(B-1)の視覚的制御変数として,選手どうしの位置関係 ,移動の速さを組み込んだ.被験者はVR空間内でボールを保持しており,敵方がボールを取りに来ている状況で周囲を見渡して適切と思われる見方に正確にパスを出すことが要求される. (B-2)のプレッシャーレベル計測としては,パス行動の正確さ(全身運動によるパス出し動作の認識)と,パスを出すまでの時間を取り上げた.適切にVR環境を設計し実験を執り行うことで,選手の経験レベルと反応時間との間の関係を明らかにすることができた.これらの成果は新規性が認められて,論文誌に掲載された. スキーやバスケットボールにおいても,実際の競技状況に近い環境をVR下に構築し,それによってかけられるプレッシャーについて研究調査を進めることができた. また,本研究に関連する基礎研究として,スポーツ競技状況下で継続的なプレッシャーが選手に与える影響を調査するべく,野球と水泳についての競技中のパフォーマンスの定量化の研究も進めることができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サッカー競技において,視覚探索運動というサッカー選手に不可欠なスキルを,プレッシャーのかかる状況下で計測し,それがサッカーの経験量とどのような相関を示すかを明らかにすることは,研究計画の主題の一つであった.その成果を出せたことは順調さの証である.他のスポーツへの展開についても検討を進めることができた.
|
今後の研究の推進方策 |
スポーツスキルの獲得度合いを正確に計測するには,さらに研究展開が必要であると考えている.そのため,選手(被験者)のより詳細なリアルタイム状態観測手法について研究を進める. また,選手を適切なプレッシャー環境下に置くために特に考慮すべき要因をスポーツ工学の点から整理し工学的に検証していくことも必要である.そのため,サッカー以外のスポーツ競技にも研究を展開し,議論の一般化抽象化を狙う.
|