研究課題/領域番号 |
19K22857
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
亀田 能成 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (70283637)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | VR / AR / ヒューマンインタフェース / スポーツ工学 / 複合現実感技術 / 画像解析 / 行動計測 / 臨場感 |
研究実績の概要 |
2020年度は、プレッシャー要因の高臨場感技術による的確な提示と、プレッシャーコントロールレベルの計測の両者を、プロトタイプに組み込んで、プレッシャーレベルにとるスキル修得のための状況提示法の研究に取り組む予定であった。この過程で、プロトタイプに用いるヘッドマウントディスプレイ(HMD)において、頭部姿勢の挙動を6自由度で精密に計測してそれを解析するだけでなく、視線追跡の調査、さらにはHMDに重畳させる形で脳波計測まで研究に織り込むことについて発展的に研究を進めた。 脳波計測については、本研究のようにVR体験中に頭部が空間的に移動するような状況で計測がそもそも可能かどうかを調べるための予備調査を行い、肯定的な結果を得ている。プレッシャーを受けていることと、脳波等のバイオメディカル情報との関係について、特にスポーツ工学の観点からの先行事例研究の調査を行い、その結果、まだこうした取り組みは行われていないか、行われているにしても被験者の行動に制約が多く、通常のスポーツ選手の体験からは差がある状況であることがわかった。このことは、本研究の独自性を担保していく上で重要な知見である。 また、2020年度から、スポーツ応用の実例研究も実証用に開始した。視覚的にプレッシャーを受けうる状況として、バトミントンにおけるシャトルと照明との重なり(グレア効果)についての研究に着手している。シャトルが高く打ち上げられたとき(クリア)に天井照明とシャトルが重なって見えることは、競技結果に影響を与えるため、プレッシャーのかかる状況であるといえる。このプレッシャーレベルと行動との関係を明らかにできるような体験システムを試作したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プレッシャーレベルの計測技術について、視線解析や脳波解析を含んだ新しい方法への挑戦を進めることができた。COVID-19の影響で、試作システムの体験からの計測やフィードバックについては得にくい状況が続いていたが、その代わりに視線・脳波等へのシステムとしての新技術取り組みを行うことができたので、全体としては順調であるといえる。バトミントンへの展開のほか、バスケットボールへの展開も行い、専門家からのコメントもいただいて研究方向性を定めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
スポーツスキルの獲得度合いを正確に計測するには,さらに研究展開が必要であると考えている.そのため,2020年度には難しかった、選手(被験者)の実際のリアルタイム状態観測について内容確認を行い、研究を進めていく. また,バイオメディカル情報の取り込みによるプレッシャーレベルの客観的指標化については、信号処理や脳科学の専門家と議論できる環境を整えて、研究を進め、最終年度として形にできればと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響を受けてプロとタイムシステム作成およびそれによる被験者実験を行う代わりに、HMDによる視線その他の解析や方法調査を重点的に行ったため。システム構築および被験者実験については2021年度に行えるよう準備を進める。
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