研究課題
今年度は、自己の身体の視覚イメージを変更することで知覚における錯覚を引き起こすこれまでのアプローチにおいて、錯覚を引き起こすイメージと、引き起こされる錯覚の定量化を行った。視覚イメージ変更のために用いていた仮想空間のアバターに対して、人それぞれの印象が存在するため、その中の特に力強さに関して、ある質量の実在する物体を持ち上げられることでその力強さを定量化するアプローチを導入した。また、重さ錯覚実験において持ち上げる物体の重さを複数用意して、生じている錯覚が質量差に換算してどの程度に相当するか、についての定量化も行った。また、アバター自体の重さイメージが錯覚の原因になっているのではないか、という点に着目し、質量変化を伴わない映像エフェクトを用いて、自身の身体に対する強さイメージを変化させて、そこから引き起こされる知覚に対する錯覚量について調査を行った。同時に、用いるアバターをより被験者の身体に似せる工夫をすることで、これまで課題であった、アバターに対する身体所有感を高める工夫も施した。さらに、錯覚時にどの程度の力出力をどのようなタイミングで行っているのかを筋電計測を組み合わせることで調査し、錯覚の原因についての考察を行った。まだ十分な評価結果が得られていないが、力出力における変化の傾向が確認され、今後は、力出力が錯覚の原因なのか、それとも錯覚によって力出力が変化していくのか、さらなる検討を行っていく。
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映像情報メディア学会誌
巻: Vol. 75, No. 5 ページ: pp.674-681
10.3169/itej.75.674