研究課題/領域番号 |
19K22873
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉元 俊輔 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (00646755)
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研究分担者 |
池田 聖 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (40432596)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | ロボットビジョン / 視覚拡張 / ユーザインタフェース |
研究実績の概要 |
本研究課題では,眼球の運動と注視対象に応じて制御可能なロボットビジョンシステムとその映像提示インタフェースを構築し,ミクロな対象の観察を支援する視覚拡張技術を確立することを目的とし,(a) 眼球運動の計測と注視の予測に関する技術,(b) 対象を追跡するロボットビジョンの制御に関する技術,(c) 映像提示に関する技術の開発に取り組んでいる. 本年度は,まず,注視位置に応じた焦点制御の有無による奥行き知覚への影響について被験者実験による調査を行い,注視位置の奥行きに応じた動的な焦点調節による映像提示は,静的な映像提示に比べて奥行きの認識率が高いことを確認した.次に,アイトラッカにより検出した視線の輻輳情報を用いて三次元注視位置を推定する手法を提案し,注視位置に応じた推定結果が得られること,またその奥行方向にゆらぎが生じることを確認した.最後に,注視奥行きとそのゆらぎを考慮したカメラの焦点制御に関する手法を提案し,評価を行った.実験では,アイトラッカによる両眼視線計測と,可変焦点レンズを備えた両眼カメラ画像をリアルタイムに提示することができる視覚拡張システムを実装し,カメラで捉えた実物体の注視位置の奥行きに対する焦点制御の誤差を評価した.その結果,注視位置に速応して焦点調整が可能であり,注視奥行きのゆらぎを考慮することにより焦点距離の誤差が軽減されることが確認され,提案手法の有効性を示すことが出来た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の研究実施計画では,2019年度から2021年度の3年間で(a)注視の計測と予測,(b) ビジョンシステムの制御,(c) 視認性の高い映像提示に関する三つの項目を設定した.初年度はビデオシースルー型HMDシステムとそのキャリブレーション方法を確立し,全体の実験環境を整えるとともに,(a)(b)の計測と制御に関する手法の提案と評価を行うことが出来たため,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,肉眼で視認することが出来ない対象を扱うことが可能な光学系設計と,その制御のためのアクチュエーション技術の開発に取り組むことで,人の顕微視能を拡張する方法について探求する.さらに,計測した画像に適応的な処理を施すなど,視認性の最適化に取り組む.その後,開発した知能眼鏡システムを用いて微小な対象物に対する視認性を評価し,提案システムの有効性を検証する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の異動により,研究に利用可能な設備・機材が当初の予定から変更されたため.
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