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2019 年度 実施状況報告書

生きている神経回路網の「機嫌」によって言葉を選ぶ片言対話エージェントの試み

研究課題

研究課題/領域番号 19K22883
研究機関関西学院大学

研究代表者

工藤 卓  関西学院大学, 理工学部, 教授 (10344110)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワードニューロロボット / 培養神経回路網 / 内部状態 / twitter / 感情極性 / 自発性神経電気活動
研究実績の概要

本研究は,生体の培養神経回路網とスマートスピーカーを接続し,神経回路網の神経電気活動を感情ユニットとして利用して,対話内容をコントロールする,対話エージェントとしてのニューロロボットの実現を目的としている.初年度はそのシステムの基盤を構築した.生物特有の「揺らぎ」をシステムへ反映するため, 生体組織を用いて調製した培養神経回路網を中核として,それを外界と繋ぐ音声入出力イン ターフェースを保持したウェットウェア・ハードウェアハイブリッドの対話エージェントを実際に実装した.音声入力に含まれる単語を抽出し,感情極性辞書に基づいて対話 の印象を評価して,その評価結果に応じて培養神経回路網に電気刺激を行うエージェントを実現することが出来た.エージェントは自身の内部状態と,語彙のリソースであ る Twitter を参照して,入力に共起的な単語からエージェントの感情極性に適合するものを選択して片言で出力する.人の側では,この片言の単語列から意味を補完して理解することで 会話が成立することを図った.刺激により発現した 誘発性神経電気活動パターンをエージェントの内部状態と定義し,これによりエージェント のその時の感情極性値を決定するようにしたが,この内部状態をどのように定義するかを中心に研究を進めた.実装したシステムについて,国際会議ALIFE2019にて発表した.また,内部状態を定義する上で必要な神経活動パターンの解析手法について,国内学会でも発表した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の段階で,生体の培養神経回路網とスマートスピーカーを接続し,神経回路網の神経電気活動を感情ユニットとして利用する対話型ニューロロボットの全体的な基盤を構築することが出来た.システムはほぼ想定通りに動作することが確認され,培養神経回路網の前提的な電気活動状況についても解析が進んでいるため,次年度は,内部状態のより詳細な定義と外部からの入力に対する応答の調整に専念することが出来る.初年度の計画としては詭弁の完成という処が目標であったため,概ね順調に進行していると判断している.

今後の研究の推進方策

今後は,神経電気活動パターンから,神経回路網の内部状態の定義をより詳細に行い,入力に対する神経の応答パターンをより定量的に分類する.また,twitterなどの言語/文章ソースの選定や,共起的な発言単語検出についての手法も更に改良が必要である.さらに,アンケートなどの評価を通して,人間の側からさらに自然と感じられるインタラクションが実現できるよう,神経回路網の活動の制御条件を考察する.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Neurorobot“ Vitaenoid” - an Interaction System between a Living- Neuronal-Network and Outer Environment,2019

    • 著者名/発表者名
      Ryu Umebayashi and Suguru N. Kudoh
    • 学会等名
      ALIFE 2019, Newcastle Helix (Newcastle, UK)
    • 国際学会
  • [学会発表] 細胞外ブドウ糖濃度の変更による培養神経回路網の自律的エネルギー調節2019

    • 著者名/発表者名
      福井花菜、工藤卓
    • 学会等名
      2019年度電気学会電子・情報・システム部門大会
  • [学会発表] 培養神経回路網における自発性神経電気活動パターンと刺激誘発応答パターンの類似性2019

    • 著者名/発表者名
      伊達悠樹、工藤卓
    • 学会等名
      2019年度電気学会電子・情報・システム部門大会

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公開日: 2021-01-27  

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