研究課題
胃がんは、アジアに多いがんで、世界的に腹膜転移性細胞株バンクが未整備な中、国立がん研究センターは、世界一の難治胃がんの初代培養細胞に近い、胃がん細胞バンクを有している。本研究では、この独自の胃がん細胞バンクから、生体内分子の網羅情報であるオミクスと抗がん剤感受性情報を得て、その関係を機械学習でモデル化し、難治胃がんの精密医療(Precision Medicine)を目指す。そのために、web上で公開されている各がん細胞株のオミクス情報と薬剤感受性情報の関係を機械学習し、転移学習による再最適化に基づき、胃がんの薬剤感受性予測モデルの構築を行う。次の流れで、研究を行った。(1)国立がん研究センターで、約50種の胃がん細胞株について、ドセタキセルとシスプラチンに関するIC50を取得した。また、64種の胃がん細胞株について、マイクロアレイによる遺伝子発現情報、SNPアレイデータからのゲノムコピー数情報、メチル化定量アレイを用いて、ゲノムのメチル化状態を測定した。(2)このうち、ゲノムコピー数の変化とともに、発現変動する遺伝子の絞り込みを行い、高度遺伝子増幅かつ過剰発現する新たながん遺伝子候補を網羅した。(3)さらに、web上で取得可能ながん細胞株1001株の発現データとゲノムのコピー数データ、および、ドセタキセルとシスプラチンのIC50情報を取得し、薬剤毎に、単相関解析を行った。その結果、国立がん研究センター独自の胃がん細胞株のIC50と相関する発現遺伝子のパスウエイ解析から、感受性、非感受性に特異的な分子経路を捉えることができた。一方、web上の細胞株のIC50と相関する発現遺伝子からは、そのような特異性は見出せなかった。以上のことから、継代数が15代未満の初代培養細胞に近い独自の胃がん細胞株は生物学的特性を保持している可能性がある。今後、国立がん研究センターで行われた臨床研究で得られたマイクロアレイデータでの検証や予測モデルの構築が望まれる。
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