研究課題/領域番号 |
19K22896
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
高間 康史 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (20313364)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 情報推薦 / ユーザプロファイリング / プロービングアイテム / 行動履歴データ / 行動変容 |
研究実績の概要 |
本研究は,ユーザの反応を引き出すために使われる提示アイテムをプロービングアイテムと定義し,行動履歴に関する匿名化された大規模データセットからプロービングアイテムを発見し,これを利用してユーザプロファイルを構築する手法を確立することを目的とする.ユーザプロファイルはユーザの嗜好や要求を表現したものであり,推薦を行う上で重要な役割を果たす.現在の推薦アルゴリズムでは,推薦対象ユーザの行動履歴(評価,購入など)からユーザプロファイルを推定する手法が主流であるが,本研究ではプロービングアイテムに対するユーザの明示的な反応からプロファイルを構築する. 今年度は,(1)ユーザの推薦精度に影響を与えるアイテムの分析,(2)暗黙的フィードバックに基づく推薦におけるネガティブサンプリング手法を中心に研究を進めた.(1)については,「それに対する評価の有無が推薦精度に影響するようなアイテム」の存在について,評価値行列の分析を行った.近傍ベース推薦, 非負値行列分解(Nonnegative Matrix Factorization)に基づく推薦手法を対象として,対象アイテムを評価済みのユーザ,未評価のユーザ間で推薦精度が大きく変化するアイテムの存在の確認,およびそのようなアイテムの特性について調査を行った.その結果,評価件数が多いアイテムほど,評価済みユーザの推薦精度が低下する傾向などが確認できた.(2)については,暗黙的フィードバックではアイテムとのインタラクションの有無に関する情報しか存在しないため,それを補う負例としてのアイテムを未評価アイテムから選択するネガティブサンプリングが行われる.これはプロービングアイテムと関連する手法であるため,暗黙的フィードバックの代表例である楽曲推薦を対象としてネガティブサンプリング手法の比較検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りプロービングアイテムの発見手法について研究を進められたほか,ネガティブサンプリングなど関連研究についても調査を進め,研究に取り入れられたため.
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今後の研究の推進方策 |
今年度着手した結果について整理し,学会発表などを行うほか,プロービングアイテム発見に関する他の手法の検討,アイテム単体ではなくアイテムの組み合わせを発見する手法の検討にも着手する.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定されていた国際会議などがキャンセルになり,旅費や参加費などが不要になったなどの影響があったため.次年度以降の学会発表や計算機環境整備,評価実験(クラウドソーシングやアルバイト費用など)に使用する予定である.
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