本研究の目的は,行動履歴に関する匿名化された大規模データセットからプロービングアイテムを発見し,これを利用してユーザプロファイルを構築する手法を確立することである.本研究において,プロービングアイテムとは,ユーザの反応を引き出すために使われる提示アイテムとして定義され,これに対するユーザの明示的な反応からプロファイルを構築することを想定する.昨年度に,プロービングアイテムへの評価履歴を重視してモデル構築を行う手法について研究を進め,プロービングアイテムが推論へ与える影響の評価可能性などについて検討を行った.本年度は継続してこの研究を進め,アイテムの人気度やジャンルなどによりプロービングアイテムを選択する基準について評価実験を行った.また,国内学会において成果発表を行った.この他,大規模プレイリストデータから楽曲やプレイリストの特徴ベクトルを獲得することで,推薦対象ユーザの楽曲やプレイリスト視聴履歴が少ない場合でも関連する楽曲・プレイリストを発見可能であることを昨年度に示したが,この研究についても継続して取り組み,テキストデータから獲得した単語ベクトルで見られるような加法構成性が楽曲ベクトルにおいても成立するかを検証した.アーティストや季節(夏・冬)に着目して検証を行った結果,加法構成性を満たすと考えられる楽曲が発見可能であることを示した.この成果は,2023年6月開催の国内学会などで発表する予定である.
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