研究実績の概要 |
環境中の元素が及ぼす健康影響をmiRNAの発現解析によって解明することを目的として、培養細胞を用いた解析を実施した。昨年度までに同定された元素関連miRNAに関してinhibitor, mimicタイプのmiRNAを用意し、transfectionを実施することで機能解析を行った。特に皮膚障害に関する機能解析を優先するため、人正常皮膚角化細胞株(HaCaT)及びメラノサイト培養細胞株(melan-a)を用いた。 昨年度までの研究成果より、元素関連miRNAにはHaCaTとmelan-aの増殖活性に影響を与える可能性のあるmiRNA (#001, #002, #003)と、HaCaTとmelan-aのアポトーシスに影響を及ぼす可能性のあるmiRNA (#004, #005, #006)、そしてmelan-aにおいてメラニン産生に影響を及ぼす可能性のあるmiRNA (#007, #008, #009)が同定されたため、それぞれのmiRNAに対してinhibitor, mimic miRNAを用意した。 その結果、HaCaTとmelan-a両方の増殖活性に影響を及ぼすmiRNA、HaCaTの増殖活性にのみ影響を及ぼすmiRNA、HaCaTとmelan-aの両方のアポトーシスに影響を及ぼすmiRNA、melan-aのアポトーシスにのみ影響を及ぼすmiRNA、melan-aにおいてメラニン産生に影響を及ぼすmiRNAが存在することが明らかとなった。これらの結果は、元素暴露による皮膚関連細胞の形態的・機能的変化が、元素暴露によるmiRNA発現変化によって直接的に制御されていることを示しており、miRNAの機能を人工的に制御することで元素誘発性疾患の予防・治療法開発に寄与できる可能性が示唆された。
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