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2020 年度 実績報告書

極微量酸素同位体をトレーサーに用いた水試料中の呼吸速度定量法開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K22908
研究機関名古屋大学

研究代表者

角皆 潤  名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50313367)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2021-03-31
キーワード溶存酸素 / 呼吸速度 / 光合成速度 / 安定同位体 / トレーサー / 海洋 / 湖沼 / 伊勢湾
研究実績の概要

本研究は、酸素の極微量安定同位体である質量数17の酸素原子(17-O)を標識 (トレーサー) に用いた、高感度かつ高確度、そして簡便な水試料中の呼吸速度定量法を開発することを目的としている。
本年度前半は、9月に実施予定の海洋観測に向けて、各種準備作業を行った。有光環境下で採取した試料を培養する場合、培養時の光量を現場と等しくなるように調整する必要があるため、これを実現出来るインキュベータを準備した。また前年度に引き続き、培養容器の選定とブランク量等の評価を行った。具体的には超純水を試料として、多種の容器やゴム栓の組み合わせの中から、ブランク量をより低く抑えることの出来る容器を選定した。また最終的なブランク量や検出下限を見積もった。
しかし2020年度中に三重大学の「勢水丸」を利用して実施予定となっていた伊勢湾 (最大水深約40 m) における観測は新型コロナ禍で中止となり、実施出来なかった。そこで2020年8月31日に琵琶湖(最大水深約100 m)で代替の観測を実施し、有光環境下を含めた呼吸速度(=酸素消費速度)の鉛直分布を取得した。その結果、水柱の呼吸速度は、表層で速く、深層で遅くなる鉛直分布を示すことが明らかになった。これは新鮮な光合成で生成する新鮮な有機物が、水中呼吸速度の制限要因となっていることを示唆する。また有光下で培養して求めた水中呼吸速度は、無光下で培養して求めた水中呼吸速度と比較して有意に速く、従来の暗瓶法で求める呼吸速度は有光下の試料に対して不正確であることが実証された。また水柱積算した温度躍層以深の総呼吸速度(=総酸素消費速度)は、湖底堆積物による総呼吸速度を上回っており、貧酸素水塊の形成を考える上で、水柱の酸素消費も無視出来ないことが明らかになった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Vertical Changes in the Flux of Atmospheric Nitrate From a Forest Canopy to the Surface Soil Based on Δ17O Values2021

    • 著者名/発表者名
      Inoue Takahiro, Nakagawa Fumiko, Shibata Hideaki, Tsunogai Urumu
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research: Biogeosciences

      巻: 126 ページ: -

    • DOI

      10.1029/2020JG005876

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Dual stable isotope characterization of excess methane in oxic waters of a mesotrophic lake2020

    • 著者名/発表者名
      Tsunogai Urumu, Miyoshi Yuko, Matsushita Toshiyuki, Komatsu Daisuke D., Ito Masanori, Sukigara Chiho, Nakagawa Fumiko, Maruo Masahiro
    • 雑誌名

      Limnology and Oceanography

      巻: 65 ページ: 2937~2952

    • DOI

      10.1002/lno.11566

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 現場環境下における都市河川中の脱窒・同化・硝化速度定量法開発2020

    • 著者名/発表者名
      中川 書子, 鈴木 謙介, 伊藤 昌稚, 角皆 潤
    • 学会等名
      JpGU-AGU Joint Meeting 2020, Virtual
  • [学会発表] 安定同位体組成を指標に用いた伊勢湾における過飽和メタンの起源および挙動解明2020

    • 著者名/発表者名
      蘭 慧, 角皆 潤, 中川 書子, 伊藤 昌稚, 三好 友子, 原 修一
    • 学会等名
      JpGU-AGU Joint Meeting 2020, Virtual
  • [学会発表] 対流圏一酸化窒素の窒素及び三酸素同位体組成の定量2020

    • 著者名/発表者名
      平野一哉, 角皆 潤, 中川書子, 伊藤昌稚
    • 学会等名
      第25回大気化学討論会
  • [学会発表] 多段フィルターパック法を用いたガス状亜硝酸および二酸化窒素の三酸素同位体異常定量2020

    • 著者名/発表者名
      頼 鵬, 中川書子, 角皆 潤, 丁 とう, 野口 泉, 山口高志
    • 学会等名
      2020年度日本地球化学会第67回オンライン年会

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公開日: 2021-12-27  

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