研究課題/領域番号 |
19K22913
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
吉浦 孝一郎 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (00304931)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 放射線 / 不死化ヒト正常線維芽細胞 / DNA二本鎖切断 / 欠失 / ショートリードNGS / ロングリードNGS |
研究実績の概要 |
BJ1-hTERT (BJ-5ta) 細胞は,human TERTによって不死化された安定正常線維芽細胞である。本細胞に0,1,3,6 Gyのγ線照射後に,選択培地なしに希釈培養することで細胞クローン化を実施した。各線量で10クローンずつ合計40クローンの高分子DNAを抽出した。 これらクローン細胞DNAのうち,0グレイ照射(非照射群)から3クローン,1グレイ照射から2クローン,3グレイ照射から2クローン,6グレイ照射から2クローンについて,ショートリードNGSシークエンサー および ロングリードNGSシークエンサーを使ってゲノム塩基配列データを取得した。このうち,0グレイ照射3クローン,3グレイ照射2クローンについては,超高精度ロングリードシークエンサーによるデータも入手した。 本研究では,超高精度ロングリードシークエンサーにより決定された塩基配列を基準として,付加的にショートリードシークエンサーから得られた情報を使って,一塩基置換,小さな欠失・挿入,大きな欠失・挿入の数,欠失周辺部のメチル化状態を解析する。それにより,放射線維より細胞に導入される「変異数/Gy」が計算可能で,加えて放射線が引き起こすメチル化の変化も検出できる可能性がある。 現在,配列リードのアラインメントと変異部位の検出が遅れている。コンピュータ解析後に,実際の変異を確認して,変異を確実に捉えることができる指標を確立して,上記の様々な変異数を数える。培養による塩基変異の影響を排除しつつ,グレイ照射当たりに発生する変異数が確定できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ゲノムデータは得られたが,解析用のサーバーの不具合があり遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ゲノムデータは既に入手してしまっている。サーバーも2020年度後半に計算能力およびストーレージ能力を増強したので,データから有益情報を抜き出すべく解析を進める。
2020年度には,ショートリーソシークエンサー,ロングリードシークエンサー2機種を使って,ゲノムデータは既に入手してしまっている。2021年度には,これらの異なるゲノムデータを総合して,放射線照射によって惹起された,1グレイ(Gy)当たり,1細胞当たりの変異数を数値化する。欠失数とその大きさ,全体のメチル化状況の変化,欠失周辺のメチル化の状況などさまざまな指標を定量的に明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
サーバーの不具合により解析が遅れたことにより,次年度へ繰り越した。 繰り越した経費は,変異の確定を行うために次世代シークエンス試薬購入,DNAメチル化解析試薬購入に充てる予定である。
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