研究課題
昨年度に引き続き、茨城県つくば市谷和原に位置する農研機構 農環研所有の水田圃場を対象とし、水田からメタンフラックスモニタリングを実施した。有機物施用の有無や、水稲の有無、気象条件および土壌環境が、形態別メタンフラックスに与える影響を調べた。測定期間は、2022年6から2022年9月までで、圃場は継続して湛水を行った。測定は週に一度の頻度で午前中に行った。また、栽培期間中3回に渡って30時間連続測定を行い、形態別メタンフラックスの日内変動を調べた。土壌水分量測定のため、各処理区につき深度5cmと、10cmに水分土壌センサーを設置し、データロガーにより1時間間隔で計測した。加えて、メタンフラックス測定時に深度10 cmから土壌水を採水し、溶存メタン濃度を計測した。メタンフラックス測定は、閉鎖式チャンバー法を採用した。今年度は、これらフラックス測定に加え原位置ポット実験を行い、水田土壌中のガス量の測定も行った。溶存メタン濃度および気相率と、各形態別メタンフラックスの関係を調べた結果、生殖成長期では、水稲体メタンフラックスが最大となる一方で、溶存メタン濃度が最小となることがわかった。一方、気相率が9 %以上の時、バブル態メタンフラックスは急激に増加した。さらに、溶存メタン濃度が増加するとバブル態メタンフラックスも増加した。これは、よりメタン濃度の高いバブルが放出されるためと考えられる。今後は形態別フラックスの日変動と環境要因の関係をより詳細に検討していく予定である。
3: やや遅れている
形態別メタンフラックスの季節変動については、十分なデータ量を確保できたものの、日内変動については、測定回数が少なく更なる実験データの蓄積が必要である。
形態別メタンフラックスの日内変動解明に向けて、2022年度データの解析を進めるとともに、2023年度はチャンバー法以外の新たな測定手法を用いた計測にも挑戦する。さらに、2022年度では実施できなかった土壌水中の溶存有機物や鉄含量の測定も行う予定である。これらの結果をまとめ、形態別メタンフラックスと環境要因との関係を整理する。
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Vadose Zone Journal
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