研究課題/領域番号 |
19K22922
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
栗栖 太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30312979)
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研究分担者 |
久保田 健吾 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80455807)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | 活性汚泥 / 微生物群集構造解析 / 精密質量分析 / ノンターゲット分析 |
研究実績の概要 |
本年度の研究においては、地理的条件や運転条件の異なる下水処理場14か所、17系列から流入水、活性汚泥、処理水を採取し、流入水および処理水については以下1)の有機物組成分析を、活性汚泥については2)の微生物生態系の網羅的解析を行った。 1)有機物組成の物質レベルでの網羅的解析には、高分解能・高質量精度をもつ精密質量分析計を用いたノンターゲットスクリーニング分析により、化合物レベルでの低分子有機化合物の分析を行った。 まずはじめに、分析条件の検討として、試料を脱塩・濃縮するための固相抽出カートリッジの処理条件を決定した。また、Orbitrap型質量分析装置による分析条件の検討を行った。検討された分析条件を用いて、下水処理場から採取した初沈越流水、および終沈越流水の分析を行った。 固相抽出カートリッジにおける回収率を求めたところ、初沈越流水は平均39%であったのに対し、終沈越流水は平均66%と、終沈越流水の方が高い回収率を示した。有機物組成の違いがあることが回収率の違いからも示唆された。初沈越流水に特徴的なピークとして、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸とみられるものが検出されたのに対し、終沈越流水ではその分解産物と思われるピークが多く見られた。 2)処理を担う微生物生態系の網羅的解析では、活性汚泥より微生物の核酸を抽出し、PCR法により16S rRNA遺伝子を増幅したのち、次世代高速シーケンサーによる塩基配列解析を行った。得られたデータは塩基配列データベースと照合して微生物種の推定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分担者の久保田と作業分担を明確にし、久保田が活性汚泥試料の手配、採取を行うとともに、試料の前処理を行った。栗栖は精密質量分析計による分析条件の検討、および質量分析計を持ちいた分析と、データの整理を行っている。それぞれの連携を密にすることで、予定通り研究を進行できている。なお、年度末からCovid-19の影響により実際の実験作業が止まっているため、来年度(R2年度)における研究進捗には遅れが想定される。
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今後の研究の推進方策 |
Covid-19による行動規制が解除され次第、対面での研究打ち合わせを行いたい。実際に分析装置を動かしながらの議論が重要と思われるためである。さらに、試料の分析を再開していきたい。得られたデータの分析自体は、それぞれ在宅にて実施可能であるため、継続して進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に実施予定だった研究打ち合わせを見送ったこと、および参加。成果発表予定だった日本水環境学会が誌上開催となり、旅費の使用残が出た。このほか、年度末に実施予定であった分析を一部延期したことにより、消耗品の購入を延期したため。 来年度、Covid-19の行動制限が解除になり次第、打ち合わせを実施し、延期していた分析を再開することにより、繰越額を使用する予定である。
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