研究課題/領域番号 |
19K22922
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
栗栖 太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (30312979)
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研究分担者 |
久保田 健吾 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (80455807)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 活性汚泥 / ノンターゲット分析 / 微生物群集構造解析 / 精密質量分析 / 未知スクリーニング分析 |
研究実績の概要 |
微生物群集は試料を採取した月が異なった場合でも、同じ処理場の試料であれば同じクラスターに分類される傾向が示されたが、この傾向は終沈越流水のDOM組成のクラスター分析結果と同様である。微生物群集が終沈越流水のDOMに影響を与えているとすれば、終沈越流水のDOMが微生物の代謝産物である、あるいは反応槽内の微生物によって分解されなかったDOMであるといったことが考えられる。一方で、微生物群集構造のクラスター分析結果と反応槽流入水のDOM組成のクラスター分析結果の間に関係性は見られなかった。反応槽流入水では固相抽出におけるDOMの回収率が低いため、反応槽内の微生物群集構造の形成に与える影響を見つけられなかったことが考えられる。また、今回の解析ではSS成分を無視していることも要因の一つとして考えられ、DOM以外の流入成分が微生物群集の形成に関与している可能性が考えられた。 さらに、前年度に引き続き処理により減少した有機物成分の物質推定を行うため、モデル微生物として大腸菌を用い、下水処理水中において利用された有機物のスクリーニングを行った。培養前後で減少した成分のうち、大腸菌の増殖基質として新たに特定された物質について、標準試薬を用いて処理水中の濃度を測定した。また、培養前後での減少量を推定した。その結果、大腸菌の全増殖量に比べると当該物質の減少量の寄与は1%未満であり、処理水中での大腸菌増殖に対しては主たる増殖基質とは言えないことがわかった。しかしながら環境水中で事前の情報なく特定の微生物の増殖基質の特定を行うことができたことは極めて新規な研究結果であり、今後環境水中での様々な微生物への応用が可能であることを実証できた。
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