研究課題
最終年度にあたる本年度では、高線量下での放射性同位体の空間分布を可視化するためのガンマ線イメージャーの開発を引き続き実施した。このガンマ線イメージャーは、センサー部としてMPPCと高速シンチレータの2次元アレイを組み合わせた構造となっており、256ピクセルを有する。そこで、独自にX線CTシステム用に開発した64系統の信号処理システムを4つ組み合わせることで、 256系統の信号を高速信号処理できるエレクトロニクスシステムを設計・製作した。さらに、ガンマ線到来方向を2次元可視化できるタングステンコリメータの設計・製作も行った。これらハードウェアの製作後、様々なデバッグを経て256系統の全てのアレイ信号を読み出すことに成功した。そして開発したセンサーアレイとエレクトロニクスを組み合わせ、X線発生装置を用いて高いX線計数率の環境を模したところ、1 MHz以上(数10 Sv/h以上)での計数率を実現できることがわかった。さらにスペクトル情報については、Am-241 や本研究のメインターゲットである Cs-137の光電ピークイベントを明瞭に得ることができた。これにより散乱ガンマ線の影響を抑え、放射性同位体の分布イメージングを実現する上で十分な性能を有していることがわかった。ハードウェア構築に想定以上の工数がかかったことに加えコロナ禍での外部実験の制限から、本年度で予定していた高強度での Cs-137 線源を利用した外部実験は次年度に実施する。これらの結果をまとめて、国内外の学会発表および学術論文誌に成果を公表する予定である。また本研究で得られたガンマ線イメージャーシステムは、並行して進めている次世代フォトンカウンティングCTの2次元センサーアレイにも応用することができ、当初の目的であった分野横断的なシステムの構築を実現することができたと言える。
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