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2019 年度 実施状況報告書

土壌・植物・微生物機能を用いた人工湿地によるマンガン含有坑廃水処理システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K22935
研究機関立命館大学

研究代表者

惣田 訓  立命館大学, 理工学部, 教授 (30322176)

研究分担者 宮田 直幸  秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (20285191)
研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワード人工湿地 / マンガン / 微生物 / 植物
研究実績の概要

ラボスケールの人工湿地によって模擬坑廃水の処理実験を実施し、土壌や植物の果たす役割を評価した。円柱型容器の底部に軽石を、中層に中和のため石灰石を、上層にマンガン(Mn)酸化菌の早期集積のためのアンスラサイトを充填した。さらに水性植物であるヨシとガマを植栽した人工湿地を設置し、何も植栽しない非植栽系も設置した。模擬坑廃水を人工湿地の上部から流入させ、1週間後に下部から処理水を排出した。その後、新たな模擬坑廃水を人工湿地に流入させた。この手順を繰り返すシーケンシングバッチ処理をした。2019年6月から7月までMn濃度を10㎎/L、鉄濃度を4.5㎎/Lとし、その後はMn濃度と鉄濃度を、それぞれ20㎎/Lと9㎎/Lとした。また、10月からMn濃度を66㎎/Lとし、亜鉛、銅、鉛等も模擬坑廃水に添加した。
模擬坑廃水のpHは7程度だったが、石灰石の作用によって、湿地内で1日後には8以上に上昇した。春夏期の植栽系のpHは7程度に維持され、非植栽系よりもpHの増加が少なく、植物の根の分泌物の影響であることが示唆された。秋冬期は、非植栽系と植栽系の差は小さくなり、pHは6.5付近にまで低下した。いずれの系も排水基準10㎎/L以下に除去された。実験初期は、植栽系の処理水はMn濃度が高い傾向を示した。これは、植栽系のpHの上昇が抑制され、Mnの化学酸化が生じにくい条件であったことが原因と考えられる。一方、非植栽系と植栽系のpHの差が小さかった後期では、植栽系の処理水のMn濃度が低い傾向を示した。秋冬期に処理水の鉄濃度が増加したが、全般的に排水基準の10㎎/L以下にまで除去された。亜鉛の処理水濃度は、排水基準(2㎎/L)を全体的に達成できた。特に植栽系の処理水の亜鉛濃度が低い傾向を示し、人工湿地に蓄積されたMn酸化物による他金属の吸着能力が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予想に反し、人工湿地は植栽系のほうがマンガン除去率が非植栽系よりもわずかに低かったが、それでも良好な除去成績が得られ、順調に研究は進展している。

今後の研究の推進方策

人工湿地内の土壌を採取し、次世代シーケンサーによる細菌相の解析を実施する。滞留時間などの運転条件を変化させ、マンガンと他の金属の除去を観察する。また、共同研究者と協力し、マンガン酸化菌の分離を試み、その特徴づけを行う。

次年度使用額が生じた理由

マンガン酸化菌の分離を試みたが、残念ながら成功には至らず、その特徴づけのために想定していた予算を執行しなかった。3月に想定していた成果発表が新型コロナの感染防止のために中止となり、予定していた旅費の執行がなくなった。この節約分と未執行分を次年度に使用するものとした。
次年度以降、共同研究者とさらに協力し、マンガン酸化菌の分離を試み、その特徴づけを行い、滞留時間などの運転条件を変化させ、マンガンと他の金属の除去を観察し、人工湿地内の土壌を採取し、次世代シーケンサーによる細菌相の解析に予算を執行する。また、日本水環境学会等において成果発表を行う。

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公開日: 2021-01-27  

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