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2019 年度 実施状況報告書

透明半導体を用いた光子・電子ハイブリッド検出器によるチェレンコフPETの実現

研究課題

研究課題/領域番号 19K22942
研究機関東北大学

研究代表者

人見 啓太朗  東北大学, 工学研究科, 准教授 (60382660)

研究分担者 錦戸 文彦  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, 主任研究員(任常) (60367117)
山谷 泰賀  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, グループリーダー(定常) (40392245)
金子 純一  北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90333624)
小野寺 敏幸  東北工業大学, 工学部, 准教授 (10620916)
野上 光博  東北大学, 工学研究科, 助手 (10847304)
研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2021-03-31
キーワードチェレンコフPET / 半導体検出器 / 臭化タリウム / 塩化タリウム / ガンマ線
研究実績の概要

本研究では陽電子放出断層撮影(positron emission tomography, PET)装置の高度化を実現するガンマ線検出器を開発することを目的としている。本研究ではガンマ線のエネルギー情報と位置情報を電気信号から取得し、時間情報を光信号から取得する光子・電子ハイブリッド検出器の開発を目指している。
当該年度は電気的特性に優れた臭化タリウム(TlBr)と光透過率に優れた塩化タリウム(TlCl)の混晶を育成しガンマ線検出器を製作した。
TlBr素材とTlCl素材を石英管へ封入して溶融することによりTlBr-TlCl混晶素材を得た。良好な電気的特性と光透過率を得るためにTlBr-TlCl混晶素材の純化を帯域精製法を用いて行った。純化後に帯溶融を一回行うことにより結晶育成を行った。実験の結果、光透過率が高いTlBr-TlCl混晶を得ることに成功した。
育成したTlBr-TlCl混晶をダイヤモンドワイヤーソーを用いて切り出し、結晶表面を機械研磨した。結晶の対向する面に、陰極として平板電極を、また、陽極としてガード電極に囲まれたピクセル電極一つを真空蒸着法を用いて形成した。各電極に金線を接続しガンマ線検出器とした。PETで利用される511 keVのガンマ線を放出する22Na放射線源を用いて開発した検出器の評価を室温で行った。製作した検出器は511 keVのガンマ線のピークを明確に検出し、PET用検出器として有望である事が確認できた。
当該年度は光透過率が高いTlBr-TlCl混晶の育成に成功し、良好に動作するTlBr-TlClガンマ線検出器の製作に成功した。これらの成果はPET用の光子・電子ハイブリッド検出器の実現に大きく貢献するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度は光透過率が高いTlBr-TlCl混晶の育成に成功し、ガンマ線検出器の製作に成功した。これらは本研究の目的であるPET用の光子・電子ハイブリッド検出器の実現に大きく貢献する成果である。以上の理由から当該研究は、おおむね順調に進展していると結論付けられる。

今後の研究の推進方策

今後は当該研究の目的達成のため(1)TlBr-TlCl混晶からのチェレンコフ光の計測、(2)TlBr-TlCl検出器から電気信号と光信号の同時計測を行い、PET用の光子・電子ハイブリッド検出器の実現を目指す。
(1)チェレンコフ光の計測では、TlBr-TlCl混晶に半導体光検出器(Si-PM)を光学接続する。Si-PMは増倍作用を有するため微弱なチェレンコフ光の検出に適している。22Na線源からの511 keVのガンマ線を結晶に照射し、チェレンコフ光の検出を試みる。
(2)電気・光信号同時計測では、TlBr-TlCl検出器の電極が形成されていない側面にSi-PMを光学接続してハイブリッド検出器を形成する。22Na線源を用いて511 keVのガンマ線を検出器に照射し、電気信号と光信号の同時計測を行う。
上記の研究を推進しPET用の光子・電子ハイブリッド検出器の開発を行うことで本研究の目的達成を目指す。

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公開日: 2021-01-27  

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