従来のナノ粒子を用いたがん治療戦略は、がん細胞に対して殺細胞効果を持った抗がん剤を効率的に送達することが重要視されていた。しかしながら、ヒト臨床試験のメタ解析により、EPR効果を利用したがん標的化の実用性に疑問が投げかけられ、根本的な技術改革が必要となった。本研究では上記の古典的な戦略を一新させる戦略として、抗がん剤を使わず、癌細胞を標的としないナノDDS技術を確立した。また、免疫チェックポイント阻害剤は約30%の患者しか有効性が認めらないという問題を抱えている。RISET戦略は免疫チャックポイント阻害剤との併用療法で高い治療効果を発揮したため、本問題点の解決策となり得る。
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