研究課題/領域番号 |
19K22949
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
兪 文偉 千葉大学, フロンティア医工学センター, 教授 (20312390)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 尿意推定 / 非拘束型計測 / しぐさ |
研究実績の概要 |
今年度は、計画通り、尿意関連計測手法の検討を行ってきた。
1) 認知症高齢者の観察とデータ収集に関して:計2名の認知症高齢者の尿意関連しぐさの観察を行い、その観察結果とこれまですでに行ってきた3名の観察結果と合わせたデータセットに対して解析を行った。以下の2点を達成できた。a)介護施設における観察方法の確立:介護施設と調整した結果、観察形式、記録、データ整理、施設側の排泄記録との照合の一連プロセスが決まった。b) 解析の結果として、しぐさが一部の認知高齢者の尿意識別に有効であることが明らかになった。そのほかに、しぐさと尿意間、相関がないケース、前回トイレ経過時間のみでも予測できるケースがあった。それらの結果の一部は、国際学会で発表を行った。また、全結果をまとめた論文は、国際ジャーナルに投稿準備中となっている。
2) 非拘束型計測方法の検討に関して:以下の2種類のセンサを用いて、日常生活動作中のバイタルサインを計測した。a) 深度センサを用いた服薬動作の計測と識別においては、服薬中手の姿勢と手と口の距離で、服薬ステップ(薬包をあける、薬を口に入れるなどの動作)を80%以上の精度で識別ができた。この技術は、しぐさの識別にも用いることができる。b) 計測周波数80GHzのマイクロ波センサを用いた座位自由動作時の心拍と呼吸の計測においては、計測条件に満たすかを判断する方法の開発によって、周りに他の物体がある日常生活環境において、読書などの自由動作時でも、高精度な心拍と呼吸計測ができた。先行研究では、心拍と呼吸も尿意を推定するための情報になりえる結果を示したため、しぐさ情報のとの併用によって、尿意推定精度の向上が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染のため、以下の遅れが発生した。 1) 高感度座面シートセンサの納品の遅れにより、計測実験が遅れていた。 2) 介護施設の観察は、キャンセルせざるを得なくなった。
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今後の研究の推進方策 |
高感度座面シートセンサがすでに納品されたため、健常者による計測実験の実施が可能となり、実験が終了次第、実験結果のまとめが可能となる。
介護施設の観察実験は、できる見通しがないため、実験室でできる解析方法の検討を現場の観察を想定し、十分に行い、観察実験ができ次第、再開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響で、年度の後半に予定していた出張、センサの納品、研究室および介護施設における実験ができなくなり、次年度の実施となるため。 国際学会がまだ未定のままになっているが、再開される場合、参加する予定である。センサは、すでに納品したが、研究室での実験はいずれ再開すると考えている。なお、再開ができる場合、次年度計画に影響を与えないように、計画し直す。
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