酵素補充療法(ERT)は、体内に足りない酵素を補充することで症状の改善を計る治療法で、疾患部位まで酵素を送り届け代謝を促すシステムを組み込んだ薬剤送達システム(DDS)は、とりわけ副作用の低い革新的治療法として期待されている。本課題では、生体内で酵素の反応場として最適な機能を具備するDDSに酵素を封入し、BBB通過用のリガンド分子を搭載することで、脳内に酵素の反応場を創出し、脳神経系(CNS)疾患の革新的治療技術開発を目的とした。DDSを形成する高分子合成、酵素を封入したDDSの構築とその基礎物性評価、in vivo試験を通して、構築したDDSが脳内でERTとして機能することを明らかにした。
|