研究課題/領域番号 |
19K22959
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
本藏 直樹 浜松医科大学, 医学部, 助教 (40518081)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
キーワード | 非線形光学顕微鏡 / 非侵襲生体光イメージング技術 / 血管生理学 |
研究実績の概要 |
人をはじめとする多細胞生物において、生命機能の維持・調節をおこなうために、様々な組織・器官がそれぞれ特異的な機能を担うこと、またそれと同時に血管網や神経系を介して他の臓器に情報を伝達することで、生体の恒常性が維持されている。そこで多細胞生物特有の高度化された機能分担システムである、多臓器が関与する生命現象をあきらかにするために、同一個体の様々組織を一切の時間遅れなく連続に生理機能を捕捉する方法論が求められている。これに対応するために、申請者は高開口液浸対物レンズおよび光検出器を内包した、3次元可動軸を持つ複数のアームを接続した非線形光学顕微鏡の作成、およびそれを用いた時間遅れのない多臓器高速イメージング法の開発をおこなってきた。
現状までにこれらを実現するための、顕微鏡のセットアップを終え、まずは独立2視野を偏光連続切り替えによって、光路を高速に切り換えることが可能となっている。また対物レンズの可動域は、10~センチメートル以上の可動範囲を持つことより、小動物であれば、観察部位を任意に指定できる。これを用いて、生体光イメージングと組み合わせることで、生体組織間シグナルを計測することを試み始めている。さらには、検出器を低ノイズおよび高量子効率なHPDを対物レンズ直上に設置することにより、非常に高感度なシグナル取得が可能になると考えられるため、それを次年度継続しておこなう予定にしている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生体光イメージング技術を基盤とした多視点同時記録は、生体の真のシグナル伝達を理解する上で最も重要なシステムとなり得る。しかしながら独立した視野を同時記録するためには、複雑なアーム機構を持ったシステムを組む必要があるため、小型動物でそのような装置を組むことは非常に難しい問題であった。 そこで本研究において、これらの問題を解決するために光の偏光方向を巧みに利用することで解決を図った。現状これらの偏光を瞬時に変えるための液晶素子などの導入によっておこなうことを想定しているが、現状は電動にて変更する速度にておこなっている。今後、検出器を低ノイズおよび高量子効率なHPDを対物レンズ直上に設置することにより、非常に高感度なシグナル取得が可能になると考えられるため、それを次年度継続しておこなう予定にしている。
|
今後の研究の推進方策 |
顕微鏡の開発にめどが立ったため、今後はこれらの顕微鏡をもちいて、生体光イメージングと組み合わせることで、真の臓器間および組織間生体シグナルを記録 することを試みる。これが成功することで様々な生体の現象・応答・反応を細かな時空間スケールで解析することが可能となり、今まで未知であった生体間シグナ ル連動などの複雑な機構も捕らえられるのではないかと強く推定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究計画において使用および購入予定の光検出器の選定にコロナの影響により、想定よりも時間がかかってしまったため、次年度に支出予定である。また製品デモなどで製品の特性を得たことにより、適切な光検出器の選定が可能となり、想定以上の性能をすでに得られることを確認済みである。
|