研究課題/領域番号 |
19K22967
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
出口 真次 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (30379713)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 干渉反射顕微鏡法 / 共焦点顕微鏡法 / 細胞工学 |
研究実績の概要 |
本研究では、細胞-基質間動的相互作用の絶対計測法の開発を目指し、干渉反射顕微鏡法(反射干渉顕微鏡法)の改良を行う。昨年度(初年度)は、共焦点 レーザー顕微鏡を用いて三つの異なる波長を用いて球体ポリスチレンビーズの反射干渉像を取得した。併せて光学に基づく理論解析を行い、三波長の強度の比について唯一解の得られる条件により、ポリスチレンビーズの絶対位置の評価を行った。それにより、ポリスチレンビーズの形状をナノメートル精度で評価しうることを確認した。また、細胞の底面についても測定を行い、およその形状を把握できることを確認した。ただし、測定対象の一定の高さ以上の部分においては、誤差の多い測定となった。本年度も様々な条件で測定を行なったが、誤差を十分に抑えることができなかった。それは実際の光学量の変化の一部を、理論的に考慮できていないことが原因であると考えた。そこで、それらの不特定の要素が含まれることを最小化するために、新たに移動型ステージを作製することを考えた。具体的には、対物レンズの中央を通る光路においては不特定の誤差原因が生じるとは考えられないために、この中央を通るレーザー照射を維持するために、測定対象を置くステージ側を精密に移動制御できる装置を作製することにした。ピエゾアクチュエータを用いてフィードバック制御を行い、対物レンズの中央の光路を維持したレーザー照射を行った結果、一部の測定において改善が見られた。現在はさらなる条件出し実験を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、細胞-基質間動的相互作用の絶対計測法の開発を目指し、干渉反射顕微鏡法(反射干渉顕微鏡法)の改良を行う。初年度は新しい方法を定式化し、ビーズを用いて検証実験を行うとともに、細胞底面の形状評価も行った。ただし、定量的妥当性についても検証を進めた結果、一定の高さ以上をもつ物体の測定において誤差が無視できないことを確認し、新たにハード面での工夫(ピエゾ駆動型ステージの作製)を進めている。測定結果に改善が見られつつあるために、今後も検証を続ける予定である。
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今後の研究の推進方策 |
物体の置かれた面からの距離が遠い場所ほど、実際の値との乖離が生じるために、精密制御されるステージを用いたハード面での対策をするとともに、新しい系に対して理論を再整備しつつより精度を高めるように検証を重ねる。最終的に細胞の形態評価が目標であるために、細胞系ならではの問題点も考慮しつつ、その補正等の対策に取り組むことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの感染拡大に伴い、実験の一部に制限があり、計画が少し遅れたため。次年度において当初研究目的を達成できるように適宜計画を立て直し、全ての研究費を使用する予定である。
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