研究課題
本研究では、細胞-基質間動的相互作用の絶対計測法として、干渉反射顕微鏡法(反射干渉顕微鏡法:RICM, reflection interference contrast microscopy)の改良を行う。これまでに三つの異なるレーザー波長を用いて球体ポリスチレンビーズの反射干渉像を取得した。本年度は特に光学に基づく理論解析に大幅な改良を行い、様々な誤差要因をそれぞれ定量的に検証できるようにした。この3波長RICM法では、三波長それぞれの強度の比について唯一解の得られる条件に基づき、ポリスチレンビーズ(本方法の妥当性を検証するためのマイクロメートルサイズの人工微小物体)の絶対位置の評価を行うものであるが、その3次元形状をナノメートル精度で評価できることを確認した。本内容についてデータをまとめ、投稿論文として準備中である。前年度に作製したピエゾアクチュエーター駆動ステージは、その微細制御自体が誤差要因になりうる可能性が挙げられたために、やむを得ずそのさらなる利用は断念することにした。すなわち、これまでに開発した光学理論に実用的な補正を加えることで誤差を最小化することに取り組んだ。さらに生きた細胞の底面についても測定を行い、形状の概形を把握できることまでは確認したが、測定対象の一定の高さ以上の部分においては誤差の多くなること、また、低い高さ領域においても確実に絶対計測を実現できていることまでは断言しきれなかった。現在はさらに個々の誤差発生要因を特定し、その定量的検証と条件出し実験を並行して行っている。
2: おおむね順調に進展している
微小人工物の幾何形状の絶対測定は概ね実現することができた。一方、細胞の形状計測はさらなる検証を重ねている。
まずは微小人工物の幾何形状の絶対測定データをまとめ、投稿論文として国際専門誌に発表を行う。細胞の形状計測は人工物との反射率の違い等の諸要素を検討し、これまでに開発した理論に実用的な補正を付加して検証を続ける。
コロナウイルスへの対応のために実験計画や成果発表計画に遅れが生じた。翌年度はこれらを適宜終了させて、計画を完遂する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 8件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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