研究課題/領域番号 |
19K22970
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
林 幸壱朗 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (80580886)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | ハニカム / 骨誘導 / 骨再生 / 再生医療 / スキャフォールド |
研究実績の概要 |
申請者らはこれまでに骨と同じ組成(炭酸アパタイト)であり、一方向に連通した細孔を有するブロック(ハニカム)の作製に成功している。このハニカムを骨欠損部に埋入すると、ハニカム細孔内に栄養供給に必要な血管と骨が形成され、自家骨移植に匹敵する高い治療効果が得られる。このような特徴を有するハニカムは、筋肉等の骨以外の組織内においても骨を誘導し、骨と置き換わる可能性がある。もし、このようなことが起こるのであれば、筋肉にハニカムを埋入することにより筋肉内に骨を形成させ、この形成した骨を骨欠損部に移植することで、先天的に骨が欠損している患者や、骨腫瘍摘出により大規模骨欠損が生じてしまった患者の骨を再建できる可能性がある。そこで本研究では、ハニカム埋入により筋肉内に骨が形成するか検証することを目的とした。 2019年度は、細孔径や壁厚が異なるハニカムを作製することを目的とした。ハニカムは次の手順で作製した:炭酸アパタイト前駆体粉末と樹脂の混練物の押出成形⇒熱処理によるバインダー除去⇒炭酸アパタイトへの組成変換。ハニカム壁がは100μmとし、細孔径は100μm、200μm、300μmとした。また、対照物質として、細孔の無い緻密体や、生体非吸収性のハイドロキシアパタイトから成るハニカムを作製した。 押出成形はハニカムの壁厚および細孔径がともに大きい方が容易であるが、壁厚が厚い場合は炭酸アパタイトへの組成変換に著しく時間を要した。さらに、壁厚はハニカムの機械的強度と生体吸収性にも影響を及ぼし、壁厚が厚くなるにつれて機械的強度は向上した。一方、生体吸収性は低下することが予測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的を達成することができたため、現段階ではおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に作製したハニカムを用いて動物実験を行い、骨誘導能を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ハニカム作製が当初の予定より円滑に進んだため、原料費を抑えることができた。これにより、次年度使用額が生じた。この次年度使用額を活用し、実験動物数を増やし、データの信頼性を高めることを計画している。
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