シアリルオリゴ糖を側鎖に有する糖鎖高分子の各種高分子の合成を行い、これをシグレック9様の活性を有する細胞によるin vitro解析を行った。また、糖鎖高分子の重合系を検討し、シアリルオリゴ糖担持高分子のRAFT重合、チオール末端を有する高分子の精密重合を検討した。 シアリルオリゴ糖として、3または6―シアリルラクトースを用いて、糖鎖高分子の合成を行った。糖鎖高分子の主鎖はポリアクリルアミドまたはポリアクリレートとし、分子鎖長、糖鎖含有率の異なる高分子の合成を行った。また、側鎖に疎水性の付与を行う糖鎖高分子または葉酸を分子末端に有する高分子の開発も行った。ポリアクリルアミド型糖鎖高分子については、糖鎖含有率によってシグレックによる免疫抑制能については依存性があり、側鎖に対して70%程度の糖鎖含有率を持つ高分子が最も優れた免疫抑制活性を示すことがわかった。また、分子鎖長依存性もあり、中程度の重合度の方が優れていることが示唆された。側鎖の疎水性の付与による活性の向上は明確な差異にはつながらず、さらなる検討が必要であることが示唆された。 本研究ではRAFTリビングラジカル重合によって糖鎖高分子を調製しており、光触媒を用いたPET-RAFT重合法による簡便な糖鎖高分子調製法を確立した。また、この手法では、末端への光分解によって、抗体やタンパク質と簡便に誘導体を調製できるチオール末端を持つ糖鎖高分子を合成することができた。金―チオールの反応で金基板に糖鎖高分子を固定化して、タンパク質との結合解析を行うことができた。
|